フィンを抜くよりレールを入れろ
JPSA第1戦(バリ島クラマス)のセミファイナルで前年度チャンピオンの仲村拓久未がエクセレントスコア(10点満点で9点)を叩きだした演技のファーストターンです。
競技サーフィンの採点基準はフィギュアスケートほど複雑ではなく、大きく以下の項目で構成されています。
1.最も大きな波に乗ったか
2.波のブレイクポイント付近で演技をしているか
3.技の完成度は高いか
4.スプレー(水しぶき)の量は多いか
5.フロー(技と技の繋ぎ)は美しいか
6.技にバリエーションがあるか
これらを念頭において改めて仲村プロの演技を見てみると、1から4まではほとんど文句なしだと思います。5については日本人プロの永遠の課題なのですが、問題は6のバリエーションです。3つのトップターンが全て同じだったのです。いわゆる
フィンを抜くターン
一方、こちらは田中英義プロがセミファイナルで見せたトップターン。これぞまさしく王道のトップターンでして、世界基準とも呼ぶべきターンです。
仲村プロもできればファーストターンはこのレールを使った大きなターンをしてほしかった。であればあの点数はガテンのいくものになったいました。そうではなかったのに、あの高い点数を付けてしまうJPSAのジャッジ(審判)というのはまだまだ世界レベルではないな〜と感じました。
フィンを抜くと派手だし難易度が高いように見えますが、実はレールを使った大きなターンの方がはるかに難しいし、世界レベルのジャッジは後者でないと高い点数を付けません。
見た目が派手な技と演技が難しい技。両者が一致しないケースというのはいろんな競技であるようです。フィギュアスケートの国際試合のあとには主要選手たちが勢ぞろいしてフィナーレの演技をしますが、あのときは派手だけど実は簡単な技しかしないのだそうです。
- バックサイド垂直リップ
- 一般的なバックサイドターンの基本は「レールを入れて進行方向を見る」ですが、鋭角なターンが求められる今のプロサーフィンではプラスアルファが必要です。
- カッコ悪いサーフィン
- 体幹が完璧であれば体の軸はブレないし、すなわち頭も傾かないのです。演技のどこを切り取っても頭は垂直に立っていて微動だにしないのが理想。
- 波にはボーナスセクションがある
- 波がたるくなってきて、また波が切り立ってくる。このエリアのことをボーナスセクションと呼びます。
- クローズドスタンスできめる!
- なぜジョンジョンのターンが美しくてカッコいいのかといえば、それはターンの最中もしっかりクローズドスタンス(内股)だからです。
- 神業ターンを解析する
- 上半身を前のめりにしない背中側へのターンは神業なのです。それができるサーファーは世界トップレベルなのであって、日本人選手ではまだ見たことがありません。