スナッパーロックス

テイクオフ成功の法則



WCT第1戦はスナッパーロックス

 

写真はクーランガッタのビーチ全体を見渡せる丘から撮ったもので、この海岸線を見ればここがすばらしいサーフポイントであることをサーファーなら誰でもわかるはずです。暖かくて澄んだ水、そして適度な間隔でやってくるパーフェクトなレギュラーブレイク。ここが本当のサーファーズパラダイス。この海岸線だからこそ理想的な波ができるわけで、スナッパーロックス(写真奥の岩場)から始まり、レインボービーチ、グリーンビーチ、そしてキラビーチ(写真左下)と連なります。

 

 

 

WCT第1戦はこのスナッパーロックスで開催されてます。ここで割れた波が下(北)に続いていくわけでして、つまりここが波の一番奥になります。ということはスナッパーロックスで波待ちしているサーファーのほとんどはプロかプロレベル。

 

 

 

ヒートが始まると岩場に現れるオジサン。もう有名人になりましたね。

 

 

 

 

 

 

 

ここは間違いなくサーファー天国なのですが、ではここに来た人みんながサーフィンを堪能できるでしょうか。その答えは残念ながらノーです。その理由は2つあって、基本的に波の奥に行けない者は波に乗れない(中途半端な位置から乗ろうとしても誰かがすでに奥からテイクオフしている)ことと、強力なパドリングができないとアッという間に南から北(スナッパーロックスからキラビーチ)に流されてしまうことです。

 

 

 

波はレギュラーオンリーのパーフェクトブレイク。頭オーバーをキャッチできればチューブに入れます。逆にサイズのない波(胸以下)はパワーがないのでボードが走りません(ロングボードなら楽しめます)。

 

 

 

海に浮かぶサーファーは全員パドリングをしていて、日本でよくあるマッタリ波待ちはできません。10秒もボードに座っていたらポジションキープができないのです。カレントに身をまかせていたら、どんぶらこ〜どんぶらこ〜と流されて10キロ先の空港まで行ってしまいそうな勢いです。

 

 

 

流されてしまったら早めに海から上がってスナッパーまで歩いて戻ります。私はここに来て5日目ですが、最初の3日間は歩いてばかりでした。こちらで調達したボードにパドリングが慣れてきたのとカレントが少し読めるようになったのとで海に入って30分はポジションキープできるようになりました。

 

 

地元のサーファーに聞いたところ、カレントのないサーフポイントはオーストラリアにはないとのことで、ここだけでなく、どこも似たりよったりのカレントがあるそうです。世界の舞台でオージー(オーストラリア人)がやたら目立つ理由がわかった気がします。「サーフィン=パドリング」という認識をみんな持っていて、その土俵の上で彼らは子供のころからサーフィンしているのです。

これほど気軽に観戦できる大会は他にない

WCT(プロサーフィン世界ツアー)は世界を転戦して総合ポイントを競います。世界を転戦するスポーツは他にもありますが、サーフィンの場合は宿泊施設すら満足にないこの世の果てみたいな場所で大会が開催されるわけですから話が違います。このツアーが1970年代に始動した当時は選手の体力と旅行費用の問題で存続が難しいとされていたほどです。

 

 

サーフィンは自然現象を待ち、追いかけるスポーツです。そこが選手たちにとって過ごしやすい環境とはかぎらないし、ましてや観客がその場所に行くことができるのかといえば交通手段やらホテルやらセキュリティーやら問題はたくさんあります。

 

そしてその問題は2014年になった現在でもたいして解決されていません。一般の人が安全に快適に観戦に行ける場所はそう多くはないのです。その意味でWCT第1戦であるスナッパーロックスは最も観戦しやすい大会です。ゴールドコースト空港から大会会場までは車で10分。そして会場周辺には数えられないほどのホテル。ちなみに私が泊まっているホテルからは会場まで歩いて3分です。これほど気軽に観戦できる大会は他になく、第2戦と第3戦も同じオーストラリア大陸ですが2つとも交通の便がとても悪い場所です。

 

 

とはいえ、今回つくづく思いましたが、WCT観戦は根気が必要です。13日の大会期間のうち試合があるのは4日か5日だけ。毎日会場に足を運ぶか、もしくはネットを見たりして状況チェックは欠かせません。これがこの世の果てみたいな秘境だったらと考えるとゾッとします。



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