ダンパーの波

テイクオフ成功の法則



ダンパーの波

ダンパーとは、壁のようになった波が一気に崩れるコンディションのことです。Dumper って辞書で引くと「ダンプカー」ですが、元になっているdump には「捨てる」とか「吐く」とか「糞をする」という意味があるので、つまり「吐き捨てるような波」ということなのでしょう。

 

 

そんなダンパー波でも”波の切れ目”はあります。”切れ目”とは壁になった波の端の部分のことで、そこだけは綺麗なブレイクになりやすいのです。そこをキャッチできるかどうかで乗れるかどうかが決まると言っていいでしょう。

 

 

 

 

 

 

上の動画はダンパー波ですね。ご覧のとおり、ほとんどの方が乗れてません。切れ目をちゃんとキャッチしている人がいないようです。切れ目をしっかり捕えるには、たしかな予知能力と、素早く移動するためのパドリングができなければだめです。これができるのが上級者なんだと思います。

 

ギロチンダンパーのテイクオフ

ダンパーはダンパーでも、もっとエグいやつを「ギロチンダンパー」なんて表現しますが聞いたことありますか。ギロチンダンパーというのは、波のリップがまるでギロチンみたいに落ちてくるやつです。

 

 

一瞬の動画ですが、バリのクタビーチ(ハーフウェイ)です。潮が引いているとこんなふうになるのが常のようです。でも、私が行ったときは引いていても普通にできましたけどね。

 

ギロチンダンパーの波ではサーフィンできません。一般サーファーだと、まずテイクオフができません。理由は、テイクオフマージンが最も小さい状況だからです。サーフィンEブックに書いていますが、ビギナーが最初に学習すべきは乗れる波と乗れない波の選別です。テイクオフマージンを理解すれば、どんな波が乗りやすいのかがわかるようになってきます。難しい波をパスできるようになるので、上達の効率も上がっていきます。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、プロや上級者はこんなギロチンダンパーの波にも乗ってしまいます。

 

 

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この彼はまだ12歳くらいだと思いますが、ギロチンダンパーを完全にメイクしています。ここで注目はテイクオフでボトムに降りたときのノーズです(1枚目の画像)。ノーズはほとんど垂直(というより、むしろ進行方向とは反対側)に降りていますね。ギロチンダンパー(テイクオフマージンが極端に小さい波)では、これが必須なんです。ここで冒頭の動画に戻って見比べてください。普通のオンショア波であれば、いわゆる「斜めテイクオフ」ができるのですが、ギロチンダンパーでこれをやるとホバリングに入ることができません。無理して突っ込むと板がめくられて、あとは洗濯機の中です。

 

そして次に注目はボトムターン(2枚目の画像)。テールを波に食い込ませ、そこを支点にしてグルッと板を回転させる感じでしょうか。おそらく、テイクオフで後ろ足を置くと同時にテールを踏んでいます。それから前足を置いたときには板はすでに回転を終えようしているはずです。

 

すごいですね。彼はこのテクニックを自然にマスターしているのだと思います。誰にも教えてもらっていないと思います。斜めテイクオフと、垂直ドロップのテイクオフ。波を見て、体が自然に反応するのです。子供は天才です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ミスターテイクオフの仕上げ工程と仕事場。これを毎日やっていると、ほんとにテイクオフが調子いいです。

サーフィン初心者とダンパー波

僕はまだテイクオフがまともに出来ないのでたくさん練習したいのですが、テイクオフマージンのある綺麗な波は上手い人達にどんどん波を取られてしまいます。スープや浅瀬も上手い人達が乗り継いで来るので皆の邪魔者に成ります。伊豆はサーフポイントが小さいからかも知れません。結局、海に行っても上手い人達はどんどん波に乗っているが、それを横目で見てるばかりでミスターテイクオフで練習した事をなかなか試す事が出来ません。

 

ダンパーで掘れた波だと空いているので、この難しい波で練習すれば一番修行に成るかなぁ〜と考えてます。どっちの波で練習するべきでしょうか? 海でどんどん練習したいので良いアドバイスを下さい。

 

伊豆のジェイクさんから質問メールをいただきました。伊豆下田は湘南サーファーが憩いを求めてやって来る地ですが、サーフポイントはそれほど多くのサーファーを収容できません。ジェイクさんのようなローカルでも特別な優先権はありませんので、初心者脱出するための練習はたいへんだと思います。

 

「ダンパー波は練習に適しているか」というご質問ですが、これはキッパリ「NO」です。普通の波とダンパー波は全く波の特性が違います。テイクオフマージンが違うというのはジェイクさんもわかっているようです。

 

たしかにテイクオフマージンの極端に小さい波でテイクオフできるようになれば、普通の波には簡単に乗れるようになるはずです。しかしそもそもダンパー波がいつもあるわけではなく、もし仮に常時あったとしても練習が楽しくないので長続きしません。サーフィンはとても難しいスポーツなので、「楽しい」と思う気持ちなくしては続けていけないのです。

 

 

 

 

 

 

 

ミスターテイクオフで習得したことを実際の海で試したい...と焦る気持ちはわかります。しかし、その成果を見るには一定のテイクオフマージンをもった波でないとダメです。そうでないと、一つ一つの動きをチェックできないからです。そして海で上手くいかなかったところを、またミスターテイクオフで反復練習する。この繰り返しが大事。これが最速上達のメソッドです。

 

だから、究極の選択はダンパーではなくスープの波。「スープや浅瀬も上手い人達が乗り継いで来る」というのはたしかで、じゅうぶんにケアしなくてはいけません。あとは海がクローズアウトしたとき。スープ波に乗り放題です。でも横への流れが激しいときは、自分がいる場所を常に把握しておいてください。

 



コンテンツ
テイクオフの基礎(その1)
サーフィン初心者、初級者が短期間でみるみる上達するサーフィンの極意をここに公開いたします。誰も言わない、誰も書かないサーフィンの理論は必見です。
テイクオフの基礎(その2)
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スープ波のテイクオフ
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