サーフィン理論

テイクオフ成功の法則



サーフィン理論の重要性

あれは私が中学生のときでした。蹴上がり...って知ってますか。器械体操で鉄棒の技です。基本中の基本の技で地味ですが、これがどうして難しいのです。体育の先生が、なんとこの蹴上がりを単位取得の課題にしたのです。そして、これができるまでは体育の単位をあげないと言うのです。一部の生徒は難なくできるのですが、できない生徒はいつまでたってもできません。私もその一人で、来る日も来る日も鉄棒ばかり。でも、できないものはできないのです。手のひらに沢山のマメをつくり、それが破れても血を流しながら練習しました。医務室のヨードチンキが足りなくなったほどです。

 

 

そんな格闘の日々が続いたある日、先生が模型を持って現れました。それは物理の実験をするための模型でした。蹴上がりができない生徒達の前で、先生は模型を使って物理の授業を始めました。体育の先生なのにです。目からウロコが落ちるとは正にこのこと、その理論と解説を聞いたら突然パッと視界が開けたのです。「そうか、そういうことか」と。それからといもの、ほとんどの生徒が蹴上がりの試験に合格したのは言うまでもありません。

 

 

そんなことがあってから3年後...私は高校生になっていました。またあの蹴上がりが課題として提示されたのです。もちろんこの私は中学校の先生のおかげで無事に試験をパスできたのですが、他の中学からきた生徒たちはそうはいきません。やれと言われて簡単にできる技でないことが誰よりもよくわかっていただけに、彼らの置かれた状況がなんともナンギでやりきれませんでした。この課題を出したのは、なんでも日本体育大学を首席で卒業したというエリート教師でした。私の高校に新卒赴任したばかりで、当時まだ22歳の若造です。彼は蹴上がりができなくて困っている生徒たちを軽蔑し、笑っていました。「ほら、こうやるんだよ」と何度も目の前でやってみせ、「なんでこんなことくらいできないんだ」と繰り返す始末。物理的な解説など、彼にはその発想すらなかったことでしょう。だって彼にしてみれば地面を歩くのと同じくらい蹴上がりは簡単だったからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロサーファーにはサーフィン初心者を教えることはできない。教える対象が、大人になってしまった人や凡人以下の人であればあるほど。これは私の基本的な考えであり、紹介したような経験が基盤にあることは確かです。紹介した事例は極端かもしれませんが、プロサーファーが英才教育を受けたサーフィンのエリートであることは間違いありません。中には大人になってから努力の末にプロになった人もいることでしょう。そのような人は初心者を指導するアイディアをたくさん持っているかもしれません。

 

 

サーフィンスクールを受ける際、インストラクターがプロであるかどうかは問題ではありません。できればプロでない方が上手に教えてもらえる可能性は高いと思います。その人が大人になってからサーフィンを始めた人であればなおさらです。

 

サーフィンに必要な体力とは

サーフィンはかなりハードなスポーツですが、実は筋持久力が勝負のスポーツです。例を挙げればたくさんありますが、一つにテイクオフの動作があります。腹ばいの姿勢から立ち上がるだけの簡単な動作です。いえ、実はものすごく奥の深い動作なのですが...ま、それはともかく体力はそんなに必要としません。しかし、この簡単な動作も数回連続してやってみてください。けっこうヘトヘトになります。陸上でたった3回やっただけで息があがるでしょう。息があがってしまう人とそうでない人。この差が大きい。サーフィンではこの差が実に大きいのです。つまりは筋持久力の違いなのですが、この違いはもろサーフィンの上手さ下手さに現れます。

 

 

その動作をこなすのにほとんど体力は必要ないのに、ちょっとでも筋力がダウンしたとたんNGになってしまいます。テイクオフ動作では両手がボードから離れる瞬間が大事であって、この瞬間そんなに大きなパワーは必用ないのですが、難しい波の場合には少しでもパワーダウンするとそのテイクオフは失敗するはずです。

 

 

ミスターテイクオフですが、「テイクオフが上手くできるようになったらアレはいらない」という話をする人がいます。しかしそれは間違いです。上手くなることと、筋持久力や反射神経を鍛えることは別問題だからです。上手くできるようになることは最初の一歩にすぎません。

 



コンテンツ
サーフィンが上手くなる条件
一人で海に行く人はサーフィンが上手くなります。いつも仲間とワイワイやってる人よりも、一人で行動している人の方が間違いなくサーフィンに集中しています。
サーフィン適格を診断します
足首が柔軟な人ほどサーフィン初心者脱出が早いです。それはテイクオフが上手くできるからです。
サーフィン上達の法則
「サーフィン早期上達のカギはビデオ撮影にある」といっても過言ではありません。一昔と違い、今では高倍率ズームレンズの新品ビデオカメラが2万円台で買えてしまいます。
サーフィン上達と挫折
いくらやってもテイクオフすらままならない。おそらくそんなところではないでしょうか。しかし、それが普通なのです。野球やサッカーなど他のスポーツと同じと思ってはいけません。
サーフィン理論の重要性
勝手ながらはらさんは「師」だと思ってます。これからも楽しくそして少しでも上手くなってサーフィンライフを充実したいです。
「私たち」という定義
私たちモデルとは、特に身体能力が優れているわけではない人たちを指しており、世の中の99%はそういった人たちです。つまりは「普通の人」のことです。
サーフィンは自己満足ではいけない
サーフィンは自己満足ではいけないというのは私の持論であり、サーフィンの核心でもあると思っています。「周囲の目なんて気にしない」と強がる人ほど実は気にしているものです。
サーフィン保険
生命保険はたいがいの方は入っておられますが、傷害保険にまで入っておられる方はけっこう少ないようです。
沖に出るのが怖いとき
パドリングが楽になれば恐怖心は完全に払拭されるのでしょうか。答えはノーです。たしかに以前よりは怖くなくなりますが、全く平気になることはないでしょう。それはなぜ?
上達しない自分は諦めるべきなのか
私の元には「まだ横に走れません」という方が来られますが、中にはサーフィン初めて10年以上という方もちらほら。では、もう諦めるべきなのでしょうか。その答えは絶対に「NO!」です。
ショアブレイクの危険性
ショアブレイクで死にかけた人はたくさんいますので、みなさんもじゅうぶん気をつけてください。

 
ホーム 基礎知識 豆知識 読者の声