WCTは何がすごいのか
ミッチ・クルーズ(オーストラリア)を覚えているでしょうか。2013年、日本(千葉)で開催されたASPの大会で圧倒的な強さで優勝し、私たちを魅了した選手です。あの大野マー選手でさえ、まったく相手にしてもらえなかったほどすごいサーフィンをしていました。
そして上のフラッシュ動画は、USAで開催中のWCT(トラッセルズ大会)にワイルドカードで出場したミッチ・クルーズ。彼にとっては念願の夢の舞台だったのですが...
ラウンド2で対戦したのはデスーザ(ブラジル)。この演技で9.10を出すなどして、ミッチ・クルーズをかるくあしらってしまったのです。日本人トッププロ達が手も足も出なかった選手なので、WCTでの活躍が期待されたのですが結果として世界の壁の厚さを思い知らされました。ではいったいなぜ、ミッチのサーフィンは世界最高峰の舞台で通用しなかったのでしょうか。その答えは、ズバリ!FLOW(フロー; 演技の流れ)です。
ミッチの演技とデスーザの演技を、フローに注目して見てみてください。ミッチはトップアクションで一瞬止まってしまう場面がありますが、デスーザにはそれがありません。この澱み(よどみ)のない演技こそが世界レベルのサーフィンなのです。
では、日本(クイックシルバージャパン)での演技はどうだったのかが気になりますね。というわけで、あのときミッチが9.10という高得点をだした演技をアップしてみました。すると、やはりトップでフローが止まってしまう場面が見つかります。WCTでは日本のときほどの力が出せなかった、というわけではなかったのです。
サーフィンの実力は相対的。つまり、上手い下手は相対的に決まってしまうものです。いくらすごいサーフィンをしても、他の誰かがそれ以上にすごいサーフィンをすれば下手に見えてしまう。逆に、下手なサーフィンでも周囲がもっと下手であれば上手いサーフィンに見えてしまいます。
- 波を取るための壮絶なる戦い
- 見た目は華やかでも過酷なまでに弱肉強食。普段は「いい人」でも試合では「悪人」にでもなる覚悟がないと勝てないといいます。
- テイクオフ優先権
- 1本乗った選手がもう片方の選手が乗る前にブレイクポイントに戻れななかった場合にはプライオリティ争奪戦となってしまいます。
- 大会ごとに期待される演技がある
- WTの大会には各大会ごとに「期待される演技がある」ということです。最もわかりやすいのは最終戦であるパイプラインマスターズです。
- 優越感と屈辱のゼッケン
- 選手には背番号32がついているのですが、サーフィン大会でのゼッケンはジャージの色のはず。では、この背番号には何の意味があるのか...
- WCTの現場 〜 サーフィン審判員
- 審査員(ジャッジ)の手元にはデジタル機器があるものの、どうやら自分のつけた点数を入力してデータを送るだけのもののようです。
- プライオリティーとインターフェアランス
- 波のピークは両者の中間だったので、タティアナはライトに、そして自分にはプライオリティーはないけれどレフトに行けると判断しました。
- レッドブル、サーフチーム
- ご存じのとおり、レッドブルはサーフィンだけでなくあらゆる人気スポーツでスポンサーになっています。
- サーフィンのマイヨ・ジョーヌ
- そんな伝統あるマイヨ・ジョーヌのアイディアを、世界プロサーフィン連盟(ASP)が今年から採用しています。
- むちうち症になったビッグウェーバー
- 胸肩の波でも背中から落ちると衝撃で首を痛めることがありますが、こんな化け物のような波でやたれたら、普通の人間なら首の骨が折れて即死かもしれません。
- WCTサーファーの背番号
- ジョエル・パーキンソンがラウンド3に向かうところで、ジャージの背には81とあります。いったいこの番号、何だと思いますか。