世界レベルをマネしてはいけない
ハワイのノースショアでトリプルクラウンと呼ばれる3つの大きな大会がスタートしました。まずはハレイワで開催されるリーフ・ハワイアン・プロ。上はファイナル(決勝戦)のダイジェストです。選手たちにとっては波は期待外れでしたが、私たちには参考になるサイズです。というわけで、世界最高峰の演技を分析してみましょう。
これはクオーターファイナルでデーン・レイノルズが見せたトップアクションです。パッと見は普通のリッピングですが、実はこれこそ世界トップレベルの技術なのです。では、どこが世界レベルなのでしょうか。サーフィンの上手さは相対的、という話を以前しました。要するに、比較しないとわからないということです。初心者だらけのポイントに中級者が一人いればその人がとても上手く見えるし、上級者だらけのポイントに中級者が一人だとその人がとても下手に見えるものです。
では、2年連続でJPSA女子のチャンピオンになった庵原美穂プロと比較してみましょう。これは前回の記事に使った画像でして、このシーンがとても重要です。
そしてこれがデーン・レイノルズ。上の庵原美穂プロと全く同じシーンを動画から抜きました。こうして比較すると違いは歴然です。庵原プロが上体をかぶせているのに対してデーンの姿勢はそうはなっていません。体全体がボードに垂直に立っていられるのは、遠心力がじゅうぶんに働いているからです。だから上体をかぶせる必要はないし、このように腰をひねることもできます。
ここで大事なことは、私たちが目標とすべきなのは庵原美穂プロです。サーフィンのイメージ的には絶対にデーンなので、デーンのようなアクションをマネしてやってしまいがちです。しかし、それが大きな落とし穴です。そのイメージをもったまま練習してもぜんぜん上手くいきません。何回やっても背中からボトムに落ちてしまいますから。
かぶせるサーフィンは中級から上を目指す人が是非ともマスターしたいテクニックです。詳しくはスケボーEブック、ステップアップEブックの特典に書いています。
- 体の軸とテールの蹴り
- ボードをクルっと回すには、ボードと体の軸を常に垂直に保つこと。テールを蹴る動作の反動で上体が動いてしまいます。
- バックサイドはGを意識する
- Gはどうやって生み出されるのかを考えてみてください。それはスピードです。要は自分のスピードに合ったサーフィンをすることが大事なのです。
- ステップバック
- クイックなカットバックをするとき、リップにアプローチするとき、スタンスは広くなります。逆に波のトップから降りるとき、ボードを加速するときにはスタンスは狭くなります。
- トップアプローチの秘訣
- 上級者は無意識に、本能にまかせてやっていること。しかし、そこには間違いなく定石があります。これを外したらダメ、という定石です。
- クローズド・セクションでの技
- ローラーコースターを見栄えのする形でまとめるのは超難しいのです。というのは、スープに乗り上げてしまうとボードが失速してしまって高く上がれないからです。
- バックサイドのリッピング
- カリッサ・ムーア(ハワイ)のバックサイドのリッピング。彼女のマニューバーは基本に忠実であり、私たちにとって本当に参考になります。
- JPSA女子のトップアクション
- 上体をかぶせながらのトップアクションというのはサーフィン特有です。一般的にスケートボードではそれをしません。
- 垂直リッピングと後ろ足の蹴り
- 垂直リッピングのためにはそれ以外の最後の一押しが必用です。それは後ろ足の蹴り。
- バックハンドの方がリップは簡単?
- バックサイドの難しいのはリップ以前です。つまり、波のトップに上がるテクニック。