垂直リッピングと後ろ足の蹴り(その1)
カリッサ・ムーアが子供のころのサーフィンを振り返っています。10歳くらいのときのバックサイドリッピング映像がありますが、すでに基本形が完成していてさすがです。そしてワールドチャンピオンとなった今、どこまで進化したかといいますと...
SQ01
SQ02
SQ03
これはブラジルで開催中のWCT第4戦でのバックサイドリッピングです。注目はSQ2でして、ボードは垂直(90度)を超えて100度あたりまで回っているのがわかります。
バックサイドでボードをトップに上げていくのはホントに難しく、成功の秘訣としてSQ1のように胸を波のフェイス側に目いっぱい向けていく(腰を回転させる)があります。しかし、それだけではここまでボードは回ってくれません。
というわけで、垂直リッピングのためにはそれ以外の最後の一押しが必用です。それは後ろ足の蹴り。
垂直リッピングと後ろ足の蹴り(その2)
カリッサ・ムーアのトップアクション。進行方向に常に視線を向けることがサーフィンの基本ですが、カリッサの演技は私たちにとってとてもわかりやすいお手本です。バックサイドのリッピングをきめたあともこのようにしっかり進行方向を見ています。超がつくほど体が柔らかくないと、この態勢でこんなふうに頭を垂直に立てることはできないでしょう。
しかし、そんなカリッサの演技の中にも進行方法を見ていない瞬間がありまして...
それがこのシーン(SQ2)です。完全に顔がボトムを向いていますが、これは男子プロでよく見られるもの。カリッサがこういったサーフィンに進化したのはここ最近のように思います。これまでのカリッサは、どんなときでも進行方向から目を離すことはなかったはずです。こちらにそのビデオクリップがあります。
以前、このブログで「サーファーはどこを見ているのか」という記事を書きました。そして今回はもっと踏み込んだ内容でして、ボトムを見ることでどんな効果が発揮されるのかを解説します。
垂直リッピングと後ろ足の蹴り(その3)
カリッサ・ムーアのバックサイド、リップアプローチ。何度も言いますが、彼女のサーフィンは私たちにとって最高のお手本です。バックサイドは特に難しく、そのためには理にかなった姿勢と動きが大切。カリッサを全てマネればいいわけですが、どうしてその動きなのかという理論を知らないとマネもできないでしょう。このシーン(SQ1)で重要なのは胸の開きと、そして両足とボードが作る三角形です。これについてはステップアップ・プログラムで詳しく解説しています。
ここから後ろ足を伸ばしていけば...
そう、このシーン(SQ2)。テールを蹴ってボードを回しています。一般的には波のトップでのリッピングで行うアクションを波のボトムでもやっているわけでして、これによりボードのノーズは垂直の角度を超えることができます。
フロントサイドでも垂直にボードを上げようとすれば波のボトムでテールを蹴るのだと思いますが、バックサイドではその蹴りがアカラサマです。このとき顔が真下を向いていて、これはおそらく蹴りを強力に行うためでしょう。そうした方が腹筋に力が入りますからね。
一般的に顔を下に向けるのは、これもやはり波のトップです。理由は同じで、テールの蹴りを強くしてボードを速く回すため。しかしカリッサは、波のトップでの蹴りのときには顔(視線)を進行方向に向けています。これが彼女のすごいところ。
↑普通のプロや上級サーファーであれば、このシーン(SQ3)で顔がボトムを向いています。
- 体の軸とテールの蹴り
- ボードをクルっと回すには、ボードと体の軸を常に垂直に保つこと。テールを蹴る動作の反動で上体が動いてしまいます。
- バックサイドはGを意識する
- Gはどうやって生み出されるのかを考えてみてください。それはスピードです。要は自分のスピードに合ったサーフィンをすることが大事なのです。
- ステップバック
- クイックなカットバックをするとき、リップにアプローチするとき、スタンスは広くなります。逆に波のトップから降りるとき、ボードを加速するときにはスタンスは狭くなります。
- トップアプローチの秘訣
- 上級者は無意識に、本能にまかせてやっていること。しかし、そこには間違いなく定石があります。これを外したらダメ、という定石です。
- クローズド・セクションでの技
- ローラーコースターを見栄えのする形でまとめるのは超難しいのです。というのは、スープに乗り上げてしまうとボードが失速してしまって高く上がれないからです。
- バックサイドのリッピング
- カリッサ・ムーア(ハワイ)のバックサイドのリッピング。彼女のマニューバーは基本に忠実であり、私たちにとって本当に参考になります。
- JPSA女子のトップアクション
- 上体をかぶせながらのトップアクションというのはサーフィン特有です。一般的にスケートボードではそれをしません。
- 世界レベルをマネしてはいけない
- サーフィンのイメージ的には絶対にデーンなので、デーンのようなアクションをマネしてやってしまいがちです。しかし、それが大きな落とし穴です。そのイメージをもったまま練習してもぜんぜん上手くいきません。
- バックハンドの方がリップは簡単?
- バックサイドの難しいのはリップ以前です。つまり、波のトップに上がるテクニック。