日本人プロサーファー

テイクオフ成功の法則



塚本勇太

 

JPSA第2戦(伊豆大会)で満を持してプロトライアルに挑んだ塚本勇太さん(20歳)。プロ本戦のラウンド4を勝ち上がればプロ公認を得られたところ、今大会を最期にプロ引退を表明している今村大介プロに逆転されて結果的にヒートを勝つことはできませんでした。画像は残り数分で乗った波が必用ポイントに届いていないコールを聞いて愕然とする塚本選手。

 

JPSAのプロ公認条件は今年から改正され、1ヒートのベスト2ウェイブで12ポイント以上を出すことというのが追加されました。塚本選手はトライアルラウンドにおいてその12ポイントを出したと誰もが思ったのですが...

 

 

 

 

 

 

 

結果は11.75という実に残酷なものでした。今大会の波のサイズとコンディションからして、このポイントを出すのは至難の技。プロ本戦においても10ポイントを超えることができたのはトップ選手の数名だけだったのですから。しかし、だからといって公認条件は変わりません。結果を受け入れるしかありませんでした。

 

 

 

そうなればもうプロ本戦のラウンド4まで勝ち上がるしかありません。ラウンド3では元グランドチャンピオンの大澤伸幸プロを下してヒートを勝ちました。過去にも書きましたが、ラウンド4まで勝ち進むにはトッププロ選手にも勝っていかないといけないので実に過酷です。つまりそこには、トッププロ選手になりえる人にしかプロ資格を与えないというJPSAの断固とした方針がうかがえます。

 

 

もし塚本選手が第1戦のクラマス大会でプロトライアルに出ていたら、余裕でプロ公認条件をクリアしていたと思います。小波は波乱が起きやすいもの。特に女子はその傾向が顕著ですが、男子においても少なからずあります。今回はそのトラップに嵌ってしまいましたが、次はみごとプロ公認を得ることでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

伊豆大会の男子プロトライアルには59名が参加しましたが、合格したのは掘越力さん(18歳)の一人のみでした。彼は最終的に、なんとプロ本戦のファイナルまで勝ち進んだのです。掘越選手はこのエアーリバースを武器に快進撃を続けました。あの小波でちゃんと飛べていたのは彼だけだったので勝ち進めましたが、波のサイズが上がったとき同じ結果を出せるかが試されます。

 

 

本来であれば、というか私の予想では、塚本選手がファイナルまで行くはずでした。体幹と足腰の強さから生み出される軸のブレない美しい演技。それは大野マーに迫るものを感じます。実質的に日本人トップ選手であるマー選手ですが、さすがに年齢的な限界を迎えています。では誰がマーの後を継ぐのか。それは大橋海人でもなく、大原洋人でもなく、仲村拓久未でもなく、塚本勇太のような予感がします。

塚本勇太が宮崎にやってきた

 

NSA主催、第49回全日本サーフィン選手権大会が25年ぶりに宮崎で開催されました。どういう経緯でまた宮崎に決まったのかは知るよしもありませんが、宮崎人としては嬉しいことです。行動力のある渡辺寛プロのお父さんが強く働きかけたのかもしれません。

 

上の動画は今大会の主役、塚本勇太さん。ちょとしたPV形式で短くまとめてみました。彼は去年のMENクラスチャンピオンでして、今年からJPSAのプロトライアルを受けて3回目でやっと合格...

 

 

 

 

 

 

そうです、彼は念願のプロになったのです。その彼が、またNSA(アマチュア)の大会に出場するとは。いったいどういうことなのか???なのですが、塚本勇太ファンの私としては降ってわいたようなチャンスでした。前々から実際にこの目で彼のサーフィンを見たいと思っていたからです。

 

 

第一印象としては、「ちょっと体が小さいな〜」です。身長は160センチくらいでしょうか。今年で20歳らしいので、これから背が伸びることは期待できません。であれば、あとはもっと筋肉を付けて横幅を増すしかありません。そうすると、あの大野マー選手みたいになりそうです。マー選手も小さいですが、ごっついです。

 

 

 

 

 

 

 

ケリー・スレーターは公式発表175センチになってますが、実際に見たかんじでは170センチあるかないかです。以前はスリム体型だったので今よりずっと小さく見えていたはずです。世界の舞台は今や大型選手の時代。ケリーはそれに対応するために肉体改造したのでしょう。

 

 

前にも書きましたが、世界に通用するサーフィンをしている日本人プロは数人しかいません。大野マー選手は今年のパフォーマンスを見るかぎり第一線を退くのは時間の問題。そうなれば、次に来るのは誰?ということになります。塚本勇太のサーフィンには、その素質があると私は見ています。



コンテンツ
久我孝男
糟谷修自と共にJPSAの二枚看板といわれたこの男。女の子人気ランキングでは糟谷に大きく水を空けられていたものの、その実績では遥かに糟谷を凌駕していました。
糟谷修自
糟谷修自は日本サーフィン界初の全国的アイドルとなったのです。当時は久我孝男と人気を2分していましたが、女の子が熱狂したのは当然この糟谷修自でした。
大野修聖
大野修聖、愛称は「マー」。日本人の実質的なナンバーワンであり、世界の最高峰(WCT)を目指して飽くなき戦いをしています。
関野聡
16歳でアマチュア大会を総なめにしており、2年後にプロトライアルに合格。1991年には念願だったJPSAグランドチャンピオンに輝きました
辻裕次郎
目標とするサーファーは誰かとの問いには、ジョンジョンとデーンと答えています。遊びのサーフィンの延長でWCTで勝ってしまうところがかっこいいのだとか。
村上舜
この前まで子供(グロム)だったのに、気が付けばこんなに立派になっていました。マニューバーの迫力が増したのは、体ががっしりしてきたからでしょう。
大原洋人
日本には二人の「洋人」がいてどちらも世界を精力的に周っています。二人そろってWCT入りを果たすことができれば最高です。
渡辺寛
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チームジャパン
サーフィンにもチームジャパンがあったのをご存じだったでしょうか。サーフィンのチームジャパンとは...
脇田貴之
脇田貴之プロはここ数年、連続でエディアイカウメモリアルに招待されています。パイプラインのエピックデイに他の誰も行けないピークから乗る脇田プロ。
堀口真平
彼の競技人生で最も輝かしいのは2003年に出場したハワイ、サンセットビーチで開催されたXCELプロというASPスターイベント。これで7位になったそうです。
仲村拓久未
仲村拓久未のサーフィンには安定感があり、世界の舞台でもほとんどの試合で一定の結果を出します。だから大きく順位を下げることはない、というのが彼の特徴
湯川正人
テレビ番組「テラスハウス」で一躍有名になってしまった湘南のプロサーファー、湯川正人。
安井拓海
これまでずっと拓久未プロばかりが目立っていたので、拓海プロはどちらかといえば影武者的な印象しかありませんでした。
新井洋人
サーフィンは見せるスポーツ。特にプロサーフィンはそうです。手足の長いサーファーは、技が大きく見えるので有利です。
カノア・イガラシ
子供だと思っていたのに、すっかり大きくなって...ついに来季WCTにクオリファイすることが確実となりました。
小林 桂
桂のサーフィンはほとんどWCTレベルだと思います。トップランキングの日本人プロ選手でも彼のサーフィンと比べられたら頭が下がります。
稲葉玲王
玲王はJPSA(日本プロサーフィン)のプロ資格を13歳で取得し、いまだにこの最年少記録は破られていません。
伊東李安流
伊東李安流(りある)君は宮崎で最も有名なキッズサーファー。私が始めて見たの10年前の彼がまだ4歳でして、やっと横に行けるようになったころでした。

 
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