サーフィンは兄弟で上手くなる
これは大野マー選手です! と書いたとしたらどうですか。すぐにそれがウソであることに気付いた人はプロサーフィンをよく見ている方です。実はこの人、大野マー選手の双子の兄弟なんです。姿かっこうだけでなくライディングもそっくりなんですが、決定的に違うのがスタンスです。マーはグーフィーですからね。
世界的に活躍しているスポーツ選手で、歳の近い兄弟がいる場合...
かなりの割合で、その兄弟も世界レベルのアスリートなんですよね。二人で切磋琢磨して、その相乗効果で強くなっていくのでしょうか。日本人で有名なのはマラソンの宗兄弟、ノルデイックスキーの荻原兄弟、フィギュアスケートの浅田姉妹などなど。
サーフィンに目を向けると日本人では上で紹介した大野兄弟を筆頭にして、小川兄弟など他にもたくさんいます。
で、なんといっても世界的に有名なのはハワイのアイアンズ兄弟です。
偉大な兄の影に隠れ、いつも卑屈な思いをしていたというブルース。その兄アンディの死後2年、ようやく表舞台に出てくるようになりました。「アンディが僕のサーフィンを褒めてくれたことなど一度もなかった」という言葉は、なんだかジーンときてしまいました。私にも一人の兄がいて、まったく同じ境遇だと思ったからです。
JPSA復帰の本気度
バリ島での熱い戦いが冷めやらぬ中、JPSAの第2戦、伊豆大会。注目はもちろん大野マー選手。第1戦のバリ島クラマス大会では見事な復帰優勝を果たし、他の日本人プロとの格の違いを見せつけました。
大野選手は今大会も優勝候補の本命ですが、シード権がないのでR1から登場。今日はR3まで消化しましたが、全てのヒートをほとんど一人舞台で勝ち上がっています。
ラウンド3で5.75を出した演技
ラウンド3で6.50を出した演技
この波ですので世界で活躍してきた大野選手とはいえ、大きな技を繰り出すには無理がありました。でも見ていて他の選手と明らかに違うのはFLOW。FLOWというのは基本的なサーフィン用語ですので、是非覚えておいてください。
大野修聖が一人勝ちする理由
湘南(鵠沼)で開催されたASP3スター大会。優勝したのはまたしても大野マー選手でした。これで大野マーは国内プロ大会4戦中3勝という快進撃です。上のフラッシュ動画はセミファイナルで9.50を出した演技ですが...
いかにも大野マーといったサーフィン。この大会も一貫してこのスタイルで優勝まで駆け抜けました。以下、全てのラウンドの結果と解説です。
まずは初戦のR64。いつものように他選手との格の違いを見せつけ、「マー君はやっぱり上手いな〜」と思わせる。
R32。JPSAには目もくれず、ひたすら世界で腕を磨いているヤングガン(新井ヒロト)に負けるものの2位通過。実は、全てのラウンドで最も危うかったのがこのヒートであり、ここで敗退していてもおかしくなかった。最後に乗った波で中村タクミ選手を逆転したのは「マーがここで負けるはずがない」というジャッジの思いこみがあったように思う。
R16。日本人キラーのコナー君(日本なら勝てると思っているので必ず来る)に負けるものの、他2選手に負ける雰囲気はなかった。とりあえず2位通過。
クオーター・ファイナル。元JPSAチャンピオンの田中イズキ選手をまったく相手にしない横綱相撲で勝ち上がる。イズキ選手は典型的な日本人プロのリッピング。それに対してマーのそれは世界を周ることで洗練され、パワーがある。いわゆる「レールサーフィン」かどうかの差が出ている。
セミファイナル。R16で負けたコナー君をなんとか破ることができた。コナーは日本人プロより完成度の高いエアリアルでいつも勝ってきたが、今回はエアーに不向きな厚い波だったのがマーに幸いした。
そして、ファイナルの相手は湘南ボーイの大橋カイト選手。彼は若くしてJPSAのトップ選手となったが、やはりマー相手ではレベルの差を露呈してしまう。つまり、技のキレ、フロー、全てにおいてマーが圧倒していた。エアリアルが難しい波だったこともあり、カイト選手に勝てる要素はなかった。
というわけで、マーがこのASP3スター湘南大会でも勝てたのは「運」が大きいというのが結論。間違いなく他の選手よりも上手かった。しかしこの大会は波の選択が超難しく、マーも翻弄されていました。いつも良い波をキャッチできたわけではなく、ベスト演技ができないラウンドもありました。特にR32がそれで、あそこを勝ち上がったのはちょっとしたミステリーです。
これで今年の国内試合はすでに3勝になるわけですが、この3大会に共通するのは「飛べない波」だったということ。飛ばないマー選手にとってはまさに絶好のコンディションだったわけです。これから先、他の選手たちがバンバン飛んでくる大会があるはずですので、マーがそれにどう対処するかが見ものです。
アスリートの魂
マーが今更ながらにエアリアルをマスターしようとしていたとは驚きでした。そんな話、雑誌でもネットでも誰もしてませんから。それで案の定、エアーを意識するばかりに得意のターンが上手くいかなくなったって話がアスリートの魂(NHKテレビ番組)の中で出ていました。
私はてっきりマーは他の日本人選手と違って、エアーという禁断の実には手を出さない人だと思っていました。「日本人選手はそれをやる前にまだまだターンの質を磨かないといけない」という悟りです。しかし、どうやらそうではなかったらしいのです。マーはもう年齢的にはアスリートとしての旬を過ぎています。それなのに今から危険技のエアーに挑戦するのは無謀としかいいようがありません。絶対に止めた方がいい。
それ以外にマーが取り組んでいるのが今流行りのスピリチュアル。どんな状況においても無の境地でいられるように、精神を鍛練するのです。波に挑むとき、「ゾーンに入る」という表現をマーは使っていました。マーの言う「ゾーン」とは、「自分の体とボードや波が一体化する空間」らしいのです。完全に波をメイクできるときというのはゾーンに入れたときであり、かってに体が動いて自分がどういう動きをしたかも覚えていないのだとか。
番組で大野マー選手がやっていた呼吸法。こんなやつでした。
東京オリンピック追加種目〜プレゼンテーション
先日、東京オリンピック追加種目のプレゼンテーションがありました。野球は世界の王貞治さんが出てきたということで大きなニュースになっていましたが、サーフィンはというと...なにも話題がありませんでした。上の画像のように、ISAのアギーレ会長やら大野修聖プロやらがスピーチしたようですが「誰それ?」だったのだと想像します。
「アギーレ会長」と聞くと、一般の人は元サッカー日本代表監督のハビエル・アギーレ氏のことだと勘違いするでしょう。ま、そこはいいとして、現役選手の代表が大野マーさんだったというのは???なところがあります。
本気で追加種目入りを果たしたいのであれば、ここは無理をしてでもキングケリー(ケリー・スレーター)を呼ぶべきだったと思います。というか、ちょうどそのころケリーは日本に来ていたではありませんか。それとも、現役選手は日本人以外はNGだった?
正直に言って申し訳ありませんが、大野マーさんはスピーチが苦手な人です。今回のスピーチ内容を見ても自分の言葉ではなく、カンペをそのまま読んだかんじになってしまっていました。
もし、ケリーがいてくれたなら。サーフィンの魅力を熱く、そして深く語ってくれたことでしょう。
大野マーがクレーム?
伊豆の下田で開催されているJPSA第2戦で特大のクレームをする大野マー選手。念のため、クレームとはサーフィン用語で「アピール」のことです。
大会2日目の波はジャンクでとても難しかった。誰もがプアーなスコアしか出せない中、マーがこの演技で9.25というエクセレントなスコアを叩きだしました。これって若き日のケリー・スレーターの得意技でしょ。
とにかく乗って乗って乗りまくったら、その中にポテンシャルの高い波があったんですね。
インタビューでは小声で物静かに話す大野マー選手。それだけに、あのクレームは迫力を感じるのです。あれをやられたら、審判団は高い点数をつけないわけにはいきません。
- 久我孝男
- 糟谷修自と共にJPSAの二枚看板といわれたこの男。女の子人気ランキングでは糟谷に大きく水を空けられていたものの、その実績では遥かに糟谷を凌駕していました。
- 糟谷修自
- 糟谷修自は日本サーフィン界初の全国的アイドルとなったのです。当時は久我孝男と人気を2分していましたが、女の子が熱狂したのは当然この糟谷修自でした。
- 関野聡
- 16歳でアマチュア大会を総なめにしており、2年後にプロトライアルに合格。1991年には念願だったJPSAグランドチャンピオンに輝きました
- 辻裕次郎
- 目標とするサーファーは誰かとの問いには、ジョンジョンとデーンと答えています。遊びのサーフィンの延長でWCTで勝ってしまうところがかっこいいのだとか。
- 村上舜
- この前まで子供(グロム)だったのに、気が付けばこんなに立派になっていました。マニューバーの迫力が増したのは、体ががっしりしてきたからでしょう。
- 大原洋人
- 日本には二人の「洋人」がいてどちらも世界を精力的に周っています。二人そろってWCT入りを果たすことができれば最高です。
- 渡辺寛
- 寛プロは宮崎市出身で、今は日南市にあるサーフショップが運営する民宿を拠点に世界を飛びまわっています。
- チームジャパン
- サーフィンにもチームジャパンがあったのをご存じだったでしょうか。サーフィンのチームジャパンとは...
- 脇田貴之
- 脇田貴之プロはここ数年、連続でエディアイカウメモリアルに招待されています。パイプラインのエピックデイに他の誰も行けないピークから乗る脇田プロ。
- 塚本勇太
- 誰がマーの後を継ぐのか。それは大橋海人でもなく、大原洋人でもなく、仲村拓久未でもなく、塚本勇太のような予感がします。
- 堀口真平
- 彼の競技人生で最も輝かしいのは2003年に出場したハワイ、サンセットビーチで開催されたXCELプロというASPスターイベント。これで7位になったそうです。
- 仲村拓久未
- 仲村拓久未のサーフィンには安定感があり、世界の舞台でもほとんどの試合で一定の結果を出します。だから大きく順位を下げることはない、というのが彼の特徴
- 湯川正人
- テレビ番組「テラスハウス」で一躍有名になってしまった湘南のプロサーファー、湯川正人。
- 安井拓海
- これまでずっと拓久未プロばかりが目立っていたので、拓海プロはどちらかといえば影武者的な印象しかありませんでした。
- 新井洋人
- サーフィンは見せるスポーツ。特にプロサーフィンはそうです。手足の長いサーファーは、技が大きく見えるので有利です。
- カノア・イガラシ
- 子供だと思っていたのに、すっかり大きくなって...ついに来季WCTにクオリファイすることが確実となりました。
- 小林 桂
- 桂のサーフィンはほとんどWCTレベルだと思います。トップランキングの日本人プロ選手でも彼のサーフィンと比べられたら頭が下がります。
- 稲葉玲王
- 玲王はJPSA(日本プロサーフィン)のプロ資格を13歳で取得し、いまだにこの最年少記録は破られていません。
- 伊東李安流
- 伊東李安流(りある)君は宮崎で最も有名なキッズサーファー。私が始めて見たの10年前の彼がまだ4歳でして、やっと横に行けるようになったころでした。