大原洋人

テイクオフ成功の法則



大原洋人

世界の晴れ舞台を夢見る日本人プロサーファーの、当面の目標はWCT(ASP世界プロツアー)に入ることです。WCTは世界ランキング約30位以内の選手たちで構成されていて、日本人でWCTに入った選手は未だ誰もいません。

 

 

 

 

 

 








 

2013年現在、アメリカはバージニアで開催されているVANSプロジュニアで快進撃を続けている大原洋人。これはクオーター・ファイナルの勝利者インタビューを受けているところです。何を聞かれても、イヤッ(Yes)しか言えないところが残念〜。他の選手たちはみんなとても饒舌(じょうぜつ)なので、サーフィン以前に日本人プロサーファーは語学力を磨いてほしいと思います。

 

 

日本には二人の「洋人」がいて(もう一人は新井洋人)、どちらも世界を精力的に周っています。次世代の大野マーになるのは、間違いなくこの二人の内どちらかでしょう。二人そろってWCT入りを果たすことができれば最高なのですが。

 

日本人が初めて世界レベルに並んだ

 

WQS6スター(ハーレープロ)のR16でパトリック・グダスカスとお互いの健闘を讃える大原洋人。これは日本人初の...

 

 

 

 


R24で7.33ポイントを出して2位につけた演技。

 

 

 

2位といっても1位のビード・ダービッジ(WCT選手)と同点なのですから、これは日本人が初めて世界レベルに並んだ瞬間といっていいでしょう。

 

 

 


R16で8.00ポイントを出した演技。

 

 

 

 

R16を勝てばクオーターファイナルなので、そうなれば6スターで日本人初?になるところでした。しかしながら、さすがにその壁は厚かった。クオーターファイナルに進んだ選手はみんな17ポイントを超えていますので、8ポイントを2回出しても足りない領域となっています。

 

 

大原洋人の今年の活躍が楽しみ。どこまで躍進するのかワクワクします。次の課題は4フィート越え(ダブル以上)の波で世界の強豪と渡り合うこと。今回のマンリービーチは日本でもよくあるファンウェーブだったのが好調の要因だったでしょう。

日本人最強の波乗り兄弟

 

世界ランキング4位につけた女子ボディボードの大原沙莉プロ(20歳)。今や日本国内には彼女の敵は見当たらず、しばらくは彼女の時代が続きそうです。プロボディボーダーがサーフィン関連のメディアに登場することはほとんどないので彼女のことを知らなかったと思いますが、でもこの顔、どこかで見た気がしませんか?

 

 

実はこの大原沙莉選手、今最もWCT(世界サーフィンプロツアー)に近いと言われている彼と兄弟なんです。その彼とは...

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、大原洋人プロ(19歳)です。この二人、まるで双子のように似てますが、洋人プロが1歳下の弟なんですね。世界ランキングは現在73位。これがどれくらい凄いことかよくわからないと思いますが、あのケリー・スレーターが絶賛したカノア・イガラシが76位ですからやっぱり凄いです。もちろん、日本人としてはですが(ちなみに、大野マー選手は115位)。

 

 

というわけで、日本人としてサーフィンで世界最高位、ボディボードで世界最高位。まさに日本人最強の波乗り兄弟。なのに、そのことが全くといっていいほど報道されないし、世間に知られていません。これはけっこうな快挙だと個人的には思うのですが。

世界の洗礼を受けた

 

ブラジルで始まったASPプライム大会。プライムには世界ランキング上位の選手しか出場できませんので、これに出るだけで名誉なのです。そして、このプライムで勝ち上がった選手たちが次年度の世界ツアー(WCT)の座を狙うことができるのです。

 

今大会には日本のエース、大野マー選手など多数が出場申し込みをしていましたが...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

審査を通過して出場が叶ったのは日本人で世界ランキングトップの大原洋人とJPSA(日本ツアー)には参加せずに世界のみを周っている新井洋人でした。

 

 

 

 

しかしながら、このWヒロトの戦いはラウンド1で早くも砕け散りました。結果は散々なもので、ご覧のとおりコテンパンにやられてしまったのです。この大会レベルになると、なんといっても技の成功率が重要。Wヒロトは外人選手たち(特に地元ブラジリアン)の演技の安定性を改めて思い知ったことでしょう。

USオープン優勝の快挙

 

まさかの出来事が起こってしまいました。2015年のUSオープンで日本代表の大原洋人が優勝してしまったのです。WSLのホームページには
ダークホースがUSオープンを席巻した!
と大きく書かれています。

 

 

ちなみに、優勝賞金は10万ドル = 1200万円。これがゴルフやテニスだと、桁が1つ違うんですけどね〜。それでもサーフィンでこの金額はすごい!

 

 

 

 

要因については前回書いたとおりです。あと、今回はWCTのトップ選手が出ていなかったのもあります。ケリー・スレーターは以前は出ていたのですが、このところ出てません。にしても、これはもうお祭り騒ぎですね。サーフィン関連のメディアだけの話ですけど。なお、女子もジョアン・ダフェー(フランス)というダークホースが優勝。

 

 

 

優勝インタビューでは質問攻めにあいました。でも英語の方はまだまだなので、もう笑ってごまかすしかありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2015年のUSオープン優勝は日本人プロサーファーとしては歴史的な快挙でして、全てのサーフィン関連メディアが大騒ぎしております。しかし一方で、思ったとおり、一般のスポーツニュースでは全く報道されておりません。サーフィン大会のニュースが一般で報道されるのは「サメが出た!」ときだけです。悲しいですね〜。

 

 

 

で、ほとんどのサーフィンメディアが「これで大原のWCT入りが射程距離になってきた」と書いておりますが...

 

早すぎます。繰り返しますが、大原選手が優勝できたのは波が小さかったからです。なので、もっとハードなコンディションで実績を残さないことにはWCTの話はまだできないと思います。

 

というわけで、同年9月に開催されたWCT第8戦のトラッスルズ大会(大原選手は特別枠で出場)が注目されました。WCTの大会は小波ではレイデイ(波待ちの休日)になりますので、運で勝ち上がることはできませんので。

 

結果は惜しくも初戦で敗退したものの、ミック・ファニングやジョシュ・カーといった世界のトッププロと互角の試合をしてみせたのです。私の想像を絶する戦いぶりに、背筋がぞくっとしました。

 

 

この勢いで頑張れ、大原選手!

ムラサキスポーツとスポンサー契約

 

大原洋人プロはJPSA(日本プロサーフィン)でチャンピオンになったことはありません。しかし、今や日本人としてダントツのナンバーワンであることは誰もが認める存在となりました。もう、大野マーの時代は過去のものとなったのです。

 

 

上の動画は直近のものでして、ムラサキスポーツとスポンサー契約した際に収録されたインタビュー。この中でプロサーファーの年収について具体的な話をしています。推測するに、おおよそ1000万円...でしょうか。そもそもサーフィン(ショップ経営やスクールを除く)だけで食べていける日本人プロ選手は数人しかいない極めて厳しい現実があります。

 

 

来年、WCT(世界ツアー)のメンバーに入ることができるのか。毎年10人ほどのメンバー入れ替えがあり、大原プロは今のところ候補の2番目に位置しています。これだけでも日本人プロの快挙でして、もしWCTに入ることができたら日本プロサーフィンの歴史を塗り替えることになります。そして、年収は10倍? ほんの数年前、WCTに入って年収1億円もらって女優さんと結婚する...そんな話を友人たちと無邪気に語っていた大原プロ。あのときはまだ、こんな日が来るとは誰も本気で思ってはいませんでした。

この記事は2017年に書いたものです。



コンテンツ
久我孝男
糟谷修自と共にJPSAの二枚看板といわれたこの男。女の子人気ランキングでは糟谷に大きく水を空けられていたものの、その実績では遥かに糟谷を凌駕していました。
糟谷修自
糟谷修自は日本サーフィン界初の全国的アイドルとなったのです。当時は久我孝男と人気を2分していましたが、女の子が熱狂したのは当然この糟谷修自でした。
大野修聖
大野修聖、愛称は「マー」。日本人の実質的なナンバーワンであり、世界の最高峰(WCT)を目指して飽くなき戦いをしています。
関野聡
16歳でアマチュア大会を総なめにしており、2年後にプロトライアルに合格。1991年には念願だったJPSAグランドチャンピオンに輝きました
辻裕次郎
目標とするサーファーは誰かとの問いには、ジョンジョンとデーンと答えています。遊びのサーフィンの延長でWCTで勝ってしまうところがかっこいいのだとか。
村上舜
この前まで子供(グロム)だったのに、気が付けばこんなに立派になっていました。マニューバーの迫力が増したのは、体ががっしりしてきたからでしょう。
渡辺寛
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チームジャパン
サーフィンにもチームジャパンがあったのをご存じだったでしょうか。サーフィンのチームジャパンとは...
脇田貴之
脇田貴之プロはここ数年、連続でエディアイカウメモリアルに招待されています。パイプラインのエピックデイに他の誰も行けないピークから乗る脇田プロ。
塚本勇太
誰がマーの後を継ぐのか。それは大橋海人でもなく、大原洋人でもなく、仲村拓久未でもなく、塚本勇太のような予感がします。
堀口真平
彼の競技人生で最も輝かしいのは2003年に出場したハワイ、サンセットビーチで開催されたXCELプロというASPスターイベント。これで7位になったそうです。
仲村拓久未
仲村拓久未のサーフィンには安定感があり、世界の舞台でもほとんどの試合で一定の結果を出します。だから大きく順位を下げることはない、というのが彼の特徴
湯川正人
テレビ番組「テラスハウス」で一躍有名になってしまった湘南のプロサーファー、湯川正人。
安井拓海
これまでずっと拓久未プロばかりが目立っていたので、拓海プロはどちらかといえば影武者的な印象しかありませんでした。
新井洋人
サーフィンは見せるスポーツ。特にプロサーフィンはそうです。手足の長いサーファーは、技が大きく見えるので有利です。
カノア・イガラシ
子供だと思っていたのに、すっかり大きくなって...ついに来季WCTにクオリファイすることが確実となりました。
小林 桂
桂のサーフィンはほとんどWCTレベルだと思います。トップランキングの日本人プロ選手でも彼のサーフィンと比べられたら頭が下がります。
稲葉玲王
玲王はJPSA(日本プロサーフィン)のプロ資格を13歳で取得し、いまだにこの最年少記録は破られていません。
伊東李安流
伊東李安流(りある)君は宮崎で最も有名なキッズサーファー。私が始めて見たの10年前の彼がまだ4歳でして、やっと横に行けるようになったころでした。

 
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