シャクに障る男
運転席からドアを蹴飛ばすように外に出た安田が「竹井さん、波見ましょう」と言って助手席で金縛り状態になっている和男を誘った。安田は和男と同じその年で22歳だったが、大学の学年が1つ下ということで和男を立てて敬語を使った。和男にしてみればタメ口の方が気が楽だったが、あえてその上下関係の状況を壊すのも面倒だったのでそのまま受け入れていた。
車の後部座席には他に2人がいて、一人は安田と同じ早稲田の阿部純一郎、もう一人はアルバイト生活をしているという田崎勉だった。田崎はまだ19歳の一番年下のくせして他の誰よりも世間を知ってるふうな身ぶり口ぶりで何かにつけ和男のシャクに障った。しかしその日借りることになっていたウエットスーツは田崎のものだったので、和男は田崎に対して腰を低くしているしかなかった。
4人は横一列で少し高台になっている砂の土手まで歩いた。その途中にもそれまでの和男の人生でお目にかかったことのない美貌の女がビーチチェアーの背もたれを倒して横になっていた。そしてその彼女の横にはボーイフレンドらしき男がいた。横目でチラリと見ながら安田が「なんであんないい女にあんなブ男が付いてんのかな〜」と嫌味とも負け惜しみとも区別がつかないことをボソボソと言った。するとすかさず田崎が「チンポがでかいんでしょ、きっと」といかにも頭の悪そうな下品な回答をした。誰も笑わないので「ケッ、ケッ、ケッ」とこれまた下品な自分受けをしていた。
まったくもって場違いな所に来てしまったと茫然としながらも和男は「じゃ、あの男は自分のチンポを女に見せながら口説いたのかよ」と無言ながらも冷静な突っ込みを入れている自分を例によって俯瞰で見ていた。
つづく...(この小説はフィクションです)
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