サーフィン小説

テイクオフ成功の法則



高田馬場の学生寮

和男は東京世田谷の明大前駅南口にある学生アパート群の一角に住んでいた。明大の学生はみんなそこに住むものだと和男は思っていたが、実際にはもっと都心寄りのマンションを借りて住んでいる同級生もいて、そんな彼らと付き合うと自分が風呂なしアパートに住んでいることに劣等感を持った。

 

アパート探しを手伝ってくれたのは3年前に宮崎の故郷から上京していた従兄の竹井正(ただし)だった。正は歯科医院の長男だったが、歯科医になる気は毛頭なく、芸術家になるべく多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に入った。同級生にブルース・リーの物まねをする面白い男がいるといって、会うといつもその人の話をした。それは、のちに芸能界でブレイクする竹中直人だった。

 

 

 

 

 

 

和男は高田馬場にある安田が住む学生寮に日曜日の午前2時に着いた。それが約束の時間だったが、30分待っても玄関に出てこないので知らされていた部屋まで行ってみることにした。その学生寮はまるで映画「大脱走」で見た捕虜収容所のような作りで、カビや埃の臭いが充満していた。

 

ようやく部屋を探し当てると二組ある二段ベッドに寝ている男たちの顔を一人一人チェックした。そして安田を発見した。熟睡していたので、かまわず「おい、おい」と肩を叩くと「なんすんだ」と寝言で怒った。辛抱強く体を揺すっていると和男に気づき、そして枕元に置いてあった目覚まし時計に視線をやって「あ、もうこんな時間だ」と言いながらガッと飛び起きた。

 

それから目にも止まらぬ速さで洗面と着替えを終えると「さ、行きましょ」と言って寮を出て、速足で駐車場まで歩いた。和男はそんな安田に振り回されたが、なんとも滑稽で憎めない男だった。



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