チューブライドで最も重要なこと
男子WCT第5戦、フィジー大会はブラジルのガブリエル・メディーナが優勝。ガブリエルはこれで今期2勝目、世界ランキングはトップに躍り出ました。第1戦での1勝目と今回の2勝目、どちらにも共通するのは波のサイズが3フィート前後(頭半〜ダブル)ということ。このサイズの波では彼はめっぽう強いのです。フィジーは6フィートを超える大波で有名な大会なのですが、なぜか異例な小波だったのが彼に幸運をもたらしました。
小さいとはいえ、パーフェクトなチューブ波には変わりありませんでした。ガブリエルは長いチューブライディングに多彩な技を織り交ぜて他の選手を圧倒したのです。しかし...
ガブリエルがどんなに長いチューブを抜けても、10点満点はありませんでした。どうしてでしょう。チューブライディングはサーフィン最高の技ですが、波さえ良ければ一般サーファーでも意外に簡単にできてしまうものです。それだけに、チューブで高得点を出すための要件はとてもシビアになってきます。その要件とは
●チューブの深さ
●チューブ(バレル)の大きさ
この2つです。体が完全に隠れるほど深い位置でライディングするのは鉄則中の鉄則。日本人プロサーファーのチューブライディングは、まずはこの1番目の要件を満たしていないとよく言われます。
ディープだから高得点ではない
2014年のパイプ・マスターズはジュリアン・ウィルソンの優勝で幕を閉じました。波のコンディションとサイズが整わず大会期間最終日に残ったたくさんのヒートを無理やり感のある手段で消化しましたが、ファイナル(決勝戦)は手に汗握る熱い戦いで最高に盛り上がりました。
ガブリエル・メディーナの最後の演技が逆転優勝に届かなかったことについて、現地からリポートしていた日本サーフィン界のご意見番的存在の波乗りでん助さんは、「でん助には解せない」と自身のブログに書いています。チューブライディングでは選手の姿が全く見えないほどに乗ってる場所がディープだと点数が高いのですが、ジュリアンよりもガブリエルの方がディープだったと言うのです。
しかし、私がここ数年WCTの試合を観戦していて思うのですが、チューブライディングで最も重要なポイントは
ディープさよりもバレルの大きさ
上の写真はジュリアンが乗った波。最後はバンザイをしながらのチューブアウトでしたので、審査員にバレルの大きさをアピールできました。
- チューブ波をメイクする
- チューブライディングはサーフィンで究極の技だと思っている方、いらっしゃることでしょう。たしかにそうなのですが、波のコンディションしだいでその難易度は大きく変わってきます。
- 小さなチューブ 〜 犬小屋のドア
- 小さなチューブ波は日本のビーチでもよく遭遇するのですが、これに入るのは簡単そうで難しいです。ギロチンダンパーぎみの波でよく発生しますから。
- バレルイン
- バレル=barrel は「樽(たる)」という意味でして、波が樽のような形になることからそう呼ばれるのだと思います。
- なぜ究極の技なのか
- チューブライディングはサーフィンにおける究極の技とされていますが、「気がついたらチューブに入っていた」というふうに一般サーファーでも意外と簡単にできてしまうこともあります。
- ストールで波が掘れるのを待つ
- テールに思い切り体重をかけてボードを失速させることをストールといいますが、このストールは半端ないですね。
- チューブ合戦は10点満点が出やすい
- チョープーやフィジーのような綺麗なチューブ波では満点がとても出やすいです。
- プルイン と プルアウト
- 「プルアウト」は乗った波から抜け出ることですので、「プルイン」は波に乗り始めることのように思ってしまいますが、正解は「チューブに入る」ことなんですね。
- フォームボール
- チューブのより深いところに居つづけるには、このフォームボールにいかに上手く対処するかがカギになるみたいです。
- チューブライドのテイクオフ
- チューブライディングをするには、まずはプルインできないと始まりません。これが難しいのです。そしてそれはテイクオフで決まります。