エアーでは高さが評価される
先日のマリブ日向プロ(決勝)での辻裕次郎。ひさしぶりに裕次郎のエアーが決まったのでMCが絶叫したのですが...
注目のポイントは6.00という、ちょっと残念なものでした。おそらくMCを含む観衆はエクセレントスコアを期待しただろうし、裕次郎本人もそうだったかもしれません。どうしてこの点数? ということなのですが、これに関してはジャッジ(審査員)はよく見ていたと私は思います。
これはWCTフランス大会でガブリエル・メディーナが出した10ポイント。
で、これは同大会でタイラー・ライト(女子)が出した10ポイント。というわけで世界レベルの飛び技(エアー)の10点満点はこんなかんじなのですが、ジャッジが何を見ているかおわかりでしょうか。
それは間違いなく、エアーの高さです。ガブリエルはローテーション(1回転)していてタイラーはしていません。しかし、ローテーションするかどうかは、ほとんど関係ないのだと思います。ここ数年WCTを見ていますが、観衆が思うほど飛んだあとのパフォーマンスは点数に反映されないものです。それがわかっていれば、裕次郎のエアーがなぜ6点ぽっちだったのかが納得いきます。
忍者のようなエアリアル
WCTの第3戦マーガレットリバーでのこと。まるで忍者が使う手裏剣のように飛ぶジョンジョン・フローレンスです。
この技をジョンジョンが披露したのは第3ラウンド、ブラジルのカイオ・イベリとのマンオンマン対決のときでした。サーフィンで宙を飛ぶ技、エアリアルはどんどん進化していっていますが、こういうのは斬新。今は横回転ではなく縦回転でないと点数が出ないと言われますがスーパーな横回転、つまり手裏剣のように舞うのも難しいはずです。
で、これにジャッジ(審判)がどういう評価をするのか注目したわけです。しかし、出た点数は7.97に留まりました。やはり...
エアーは高さが重要
ということなんでしょうね。以前の記事でも書きましたが、どんなに派手に回転しようとも高く飛んでいないと8点以上のエクセレントスコアは付けてくれないのです。
結果的にジョンジョンはカイオに逆転負け。観客を魅了する選手が負けてしまう採点基準に疑問を持ったヒートでした。
ガブリエル・メディーナの10点満点エアー
WCT第4戦ブラジルでガブリエル・メディーナが見せたダブルグラブレールのバックフリップ。技はこれだけだったのですが、なんと10点満点が出ました。
日曜日の午前8時からNHKのBSスポーツチャンネル(BS1)でWCTの第1戦と第2戦を2時間番組でやってました。サーフィンがオリンピック候補になったことでNHKでの特集番組が増えてきましたね。とはいえ、日曜の早朝にテレビを見てる人って後期高齢者くらいのものだと思いますのでメジャースポーツ扱いではありません。
この番組でマネーターンという言葉を解説していました。マネーターンとは、そのたった1発でエクセレントのスコア(8点以上)を期待できるターンのこと。
ガブリエルの10点満点は、まさしくこのマネーターンならぬマネーエアーでした。ほんとに1発だけだったのですから。どうして1発で満点だったのか。バックフリップのエアリアルはたしかに技の難易度が高いし、これを大会本番できめたのを見たのは私も初めてです。しかし、これまでエアーの技について私が解説しているように
エアーは高さが重要
バックフリップだったからではなく、これだけの高さがあったからこその10点満点だったと思います。もしこれが横方向への単純な回転だったり、もしくは回転すらしないものだったとしても満点に近いものになっていたはずです。
- エアリアル(エアー)
- サーフィンの空中技はスキーやスノーボードとは基本的に別物です。なぜかといえば、波は動いているから。飛び出したところに戻っても、それはただのプルアウトなのです。
- 未来のサーフィン
- 世界のサーフィンが目指しているところはXゲーム。他の競技と遜色ない演技ができるようになったとき、サーフィンは初めてメジャーなスポーツとなるのでしょう。
- 世界レベルのサーファーがやっていること
- ある雑誌ではジョーディ・スミスやサリー・フィッツギボンがレッドブル主催のキャンプで猛練習している写真が公開されていました
- ブラジリアンのエアリアル
- フィリペのサーフィンはとにかくラディカル(よく動く)。ガブリエルをもっと活性化させたかんじです。ガブリエルといえばエアリアルですが、フィリペのエアーはもっとすごい。
- エアーリアルはいつかできる?
- ボードと体を空中に飛ばした人がいます。もしかしてエアリアルのつもり? そうなのかもしれませんが、客観的には単にボードと体が宙に舞っただけです。
- 女子のエアリアル
- ここ数年における女子の進化には驚くばかりですが、こうも早くエアーをマスターしてくるとは思いもしませんでした。
- エアーよりも重要なこと
- 日本人のプロも、こぞってエアーの練習をしています。「これからは飛ばないと勝てない」という焦りを感じているのでしょうか。
- 危険度が増すエアーリアル
- サーフィンのエアーリアルは高く飛べば飛ぶほど危険度が増します。それはスケボーやスノボーでも同じように思えますが、それがけっこう違うのです。
- オニー・アンワーのステップバック
- 飛ぶためのボトムターン直前でスタンスを目いっぱい広げています。後ろ足は(たぶん)デッキパッドのストッパーにかかっています。