友人はサーフィンを教えてくれない
”みそっかす”という言葉をご存じでしょうか。味噌のカス、つまり捨ててもかまわないものというのが語源です。たとえば小学校の同級生が集まって野球やサッカーをするとき誰かの弟や妹がついてきていて、その遊びに加わったとします。しかしあまりに小さくて幼いので、彼らはただそこに居るだけの存在になっています。これが”みそっかす”であり、私が子供のころには単に”みそ”と呼んだものです。
思うのですが、サーフィンにもこの”みそっかす”がよくいます。子供の話ではなく、大人のです。もちろん当の本人はそんなことには気付いてはいません。その人たちはサーフィンのサークルでけっこう見かけます。サークルでなくてもサーフィンをいつも仲間といっしょにやってる人です。自分一人では心もとないので、誰かといっしょにでないと海に行けないのでしょう。
仲間と海に行って、自分はほとんど波に乗れず、仲間が楽しそうにサーフィンしているのを見てるだけ。しかしガソリン代や宿代はきっちり割り勘で払わされます。ほとんどの場合、その人に熱心にサーフィンの手ほどきをする者はいません。なぜなら、その人にはずっと”みそっかす”でいてくれること望んでいるからです。
サーフィンは基本的に個人競技です。チーム競技ではありません。だから仲間どうしでも、ある意味ライバル関係にあります。仲良くやっていても、常に誰かのサーフィンを意識しています。だから自分より明確に下手な人がいる状況は心地いいのです。
何を隠そう、この私がその”みそっかす”だったのです。あれは学生時代のこと、学生だからお金がないので一人で海に行くことはできません。みんな仲間を作ってガソリン代を割り勘で海に行くのが普通でした。東京から伊豆や新島に合宿にも行きましたが、もちろん宿は大部屋で割り勘です。
今にして思えば、あのころの私は仲間たちのカモでした。ほとんど波に乗れない私をマメに海に誘ってくれましたが、けっしてサーフィンを教えることはしなかったものです。私に期待したのは、お金と小話だけだったのだと思います。
そして現在、サーフィンを指導する立場になってみると、まるで昔の私のような方を発見します。誰かの誘いでサーフィンを始め、一人では海に行けず、いつも仲間といっしょに行動しているだけの人。そうやっていれば、自分もいつかはサーフィンができるようになると勘違いしている人。
サーフィンはそんなに甘くありません。たしかなノウハウと、それを着実に消化していく強い意志が必要です。
- サーフィンはビジネスにならない
- もともとサーフィンは単なる夏のレジャー(遊び)だったわけでして、それでいくらか稼げるだけでもいいと言ってしまえばそうなのです。
- サーファーが若い理由
- ミトコンドリアはいくつになっても増えるといいます。今年40になる方、50になる方、おくすることなくサーフィンを始めましょう。
- 百分は一見にしかず
- 「あなたはサーフィンが下手です」と正直に言ってくれる人というのは貴重です。しかしその人が貴重な存在であるとは気付かずにその発言が元で不仲になってしまうのが普通でしょう。
- 4種類のサーファー
- 私は「サーファー」には大きく分けて2つ、細かく分けて4つのタイプがあると考えています。
- サーフィンの意外な効用
- 常に新しいことにチャレンジすることが脳にとって最も重要。あと、この言葉もとっても意外だったのですが「退屈は脳を活性化させる」。
- サーフィンは興業が難しい
- サーフィンが興業として成り立つスポーツになることはないでしょう。テレビで生中継なんて無理なんですから。いつまでたってもBSやケーブルテレビでダイジェスト版が流れるていどです。
- 波の鑑定力を養う
- ブレイクして終わった波を見て「あれは良い波だった」と言えるのはサーファーとして当然のこと。 しかし、”うねり”を見て「あれは良い波になる」と言うのは簡単ではないでしょう。
- 波に乗れるかどうかの判断
- 一見して「いい波」に思えても、海に入ってみたら全く乗れなかった経験はありませんか。それは事前の判断が甘かったことの方が要因としては大です。
- マニューバーの意味
- マニューバー(maneuver)とは、本来は戦術用語です。軍事的な移動を意味し、それを「機動」と言います。「機動戦士ガンダム」のアレです。