JASA プロトライアル

テイクオフ成功の法則



プロサーファーへの道

 

プロサーファーを目指す日本のキッズサーファーたち。画質が悪いので波に乗っているのが誰かよくわかりませんが、上手さはじゅうぶん伝わってきます。この中に村上瞬という今最も注目されている子(撮影当時14歳)がいて、今年JPSAのプロトライアルを受けているのですが...

 

 

 

 

 

 

 

 

2013年の開幕戦(バリ島クラマス大会)では本戦R2で敗退。R4まで勝ち上がらないとプロ資格をもらえませんので、次の機会に再チャレンジとなりました。他にも金尾玲生、松下諒大といった注目選手たちも次々と不合格。このように最有力選手ですら落ちてしまうのですから、いくらJPSA(日本プロサーフィン)のレベルが世界的に低いといっても、そのJPSAのプロになることすら厳しいのが現実です。

 

 

結果的にクラマス大会でプロ合格したのは大森海夏人、ただ一人。毎回50人前後がプロトライアルを受けますので、合格率は約2パーセントということになります。司法試験や公認会計士といった超難関試験ですら合格率5パーセント前後ですから、このプロサーファー試験の難易度は想像を絶するほどといっていいでしょう。

 

 

この現実を、チャレンジャーたちはどう受け止めているのか。私が特に問いたいのは、我が子をプロサーファーにしたいと思う両親の気持ちです。海に行けば、将来のプロサーファーを夢見る親子の姿が目に入ります。夕日をバックに暗くなるまで波乗りする少年や少女、そしてそれを浜で見守る父親または母親。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうして彼らはJPSAのプロサーファーになりたいのでしょう。実際にサーフィンの収入だけで生活できているのはランキング上位の数人のようですが、それでも一般サラリーマンとさほど変わらない年収だと思います。普通、なぜプロ選手を目指すかといえば、年俸数億円の世界が現実にあるからじゃないですか。

 

 

WT選手は年間数億稼ぐといわれますので、それを目指すモチベーションは他のスポーツと共通です。しかしJPSAにはそのモチベーションを持ちえない。だから、プロサーファーという職業への憧れだけしかないような気がします。

どうしてプロサーファーになりたいのか

 

JPSA(日本プロサーフィン)のプロ資格には目もくれず、黙々と世界(ASP)の大会に出ている大原洋人。これこそが正真正銘のプロサーファーへの道であると思います。海外にはJPSAのようなプロサーファー公認制度がありません。試合に出て、表彰台に上がればプロだし、上がれなかったらプロではない。要するに、プロかどうかは世間が認めるかどうかなんです。

 

 

JPSAのプロ資格を得るのは超難関だという話をしましたが、世間にプロだと認めてもらうのはその次元をはるかに超えて難しいものです。タレントを例にとればわかりやすいのですが、いくら自分でタレントを名乗ってもテレビや雑誌に出ていなければ世間の人はタレントだとは思ってくれません。JPSAのプロ資格を取るのは難しいです。しかし、それを取りさえすれば世間がどう思っていようと関係なしにプロなのですからとても気楽です。試合に出ていなかろうが、試合に勝てなかろうが、JPSAに登録費用を払い続けていればいいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、どうしてプロサーファーになりたいのか。思うに、プロ野球選手やプロサッカー選手を目指すのとは動機が違うような。プロ野球やプロサッカーで活躍した人の話を聞くと、やはり最大の目的は大金を稼ぐことです。ほとんど全ての人は、高級外車に乗って豪邸を建てたいと思ったと言います。WTのプロサーファーになればそれも夢ではありません。しかし、日本人で本気でWT選手になりたいと思っているのは大野マーをはじめとして数人しかいません。もちろん大原君もその一人なのですが。

 

 

 

 

 

 

 

私のまわりにもJPSAのプロ資格を目指す若者がたくさんいます。中にはプロトライアルを10年近くも受け続けている人も。どうして彼らはJPSAのプロ資格が欲しいのでしょう。その理由はプロになって大金を稼ぐということでは絶対にないはずです。本気でそう思ったら、JPSAではなく、世界(ASP)に出ていかなければいけないのですから。そして、その際にはプロ資格など全く必要ないのです。

 

 

もしかしたら、JPSAのプロ資格を取ること自体が彼らの生涯の夢なのかもしれません。その資格で食べていこうなんて考えてもいないのだとすれば何も言うことはありません。野球やサッカー、ゴルフやテニスといった多くのプロスポーツがありますが、プロ資格だけが目標になるというのはサーフィンだけではないでしょうか。しかし、他人の夢をとやかく言うことはできません。



コンテンツ
日本プロサーフィンの危機
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2013年のツアー総括
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プロサーフィンの賞金を増やすために
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世界を周る若手プロたち
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