日本人プロサーファー

テイクオフ成功の法則



頑張れ日本人プロサーファー

 

ASPジャパンツアー、韓国チェジュ大会はたった2日間で全ヒートを終了しました。開催地、そして賞金の魅力を今後もっと上げていかないと出場選手の数は増えていかないでしょう。冠スポンサーは大手のスポーツ用品店なのですから、ここは太っ腹で優勝選手には200万円くらいは出してほしいところです。

 

 

優勝はオーストラリアの無名新人選手(コナー君:18才)。いきなり出てきた若造に優勝をさらわれてしまうのですから、日本のトッププロ達はもっと奮起しないといけません。今回の勝敗を決したのは、やっぱり...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっぱりエアーですね。下のダイジェストには登場しませんが、コナー君だけがバシバシとエアリアルを決めていました。やってるのは今流行りのリバースエアー。WT選手のガブリエル・メディーナの得意技です。これが1発決まるだけで9点付いてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしても今回の大会はジャッジが甘すぎるように思いました。WTだったら5点くらいの演技で9点が付いてしまうのですから。いくらQSの2スターとはいえ、ジャッジは世界標準でやってもらわないといけません。そうでないと、点数が甘いというだけでジャパンツアーの評価が低く見られてしまいますから。

 

 

もしかしたら、韓国選手に配慮したために全体的な点数が上がったのかもしれません。

仮想の単独インタビュー

サーフメディアというサーフィン専門サイトをご存じでしょうか。ここのコンテンツは、サーフィンライフ誌を代表とするサーフィン雑誌などはけっして触れない日本プロサーフィン界の矛盾と問題点に鋭いツッコミを入れていて読みごたえがあります。

 

 

というわけで、「もしもサーフメディアの記者が私に単独インタビューをしたら?」というのをやってみたいと思います。

 

 

Q.はらさんはツイッターで日本のプロと世界のプロのレベルの差をASPの試合があるたびに厳しく指摘されていますが、その原因と対策をどう考えているのでしょう。

 

私はプロでもなんでもないので原因はわかりません。ただ、見ていて明らかなレベルの差があると思います。ラーメン屋と同じなんですよね。どこの店がうまいかはラーメンを食べ歩いている人なら味の違いがわかるわけで、ラーメン作ったことがあるかどうかは特に必要ではありません。

 

 

 

Q.日本のプロサーファーは下手だと?

 

いえいえ、とんでもないです。すごいと思います。上手いと思います。どうしてあんなことできるのかって、いつもそう思いながら見ています。だけど、世界の舞台で世界の選手と見比べると...絶対的なレベルの差を感じるんですね。

 

 

 

Q.原因はわからないということですが、何かこの現状を打開する方法はないものでしょうか。

 

ないと思います。こう言いきってしまうとバッシングを受けるのは目に見えていますが、客観的にはその答えしかありません。日本経済はこれからますます疲弊していきますからね。この状況下でスポンサーを見つけていくのは難しいし、国内に閉じこもる選手たちの気持ちは理解できます。世界で戦っている選手やJPSAで上り調子の選手たちは口を揃えて「日本人にも勝つチャンスはある」と言いますが、あれは自分の存在意義をアピールするためです。というか、そこで「チャンスはない」と言ってしまったらモチベーションが保てなくなります。

 

 

 

Q.では日本プロサーフィンには将来はないと考えているのでしょうか。

 

そうではありません。先ほども言ったように日本人プロサーファーの実力はすごいので、なにも嘆くことはないと思います。世界を意識するからおかしくなるわけで、もっと柔軟に考えたらどうでしょうか。私はJPSAが設立された意義は大きいと思います。そしてそれは正しかったと思います。日本人が日本のサーフポイントで戦ってチャンピオンを決める。それでじゅうぶんです。どうしてそれにダメ出しするのかがわかりません。

 

それからサーフィン後進国の追い上げについてですが、こと韓国に関して言えば日本に追いついて追い越すことは考えられません。日本よりももっと条件が悪いですから。逆に、ブラジルや南アフリカに追い抜かれたのは必然です。世界有数の波に恵まれているから世界のトップ選手が集まるし、それを見て刺激を受けるジュニア世代の数が半端ないです。競技人口については少子化にある国と人口爆発の国との違いだから不可抗力です。

 

 

 

Q.しかしサッカーやゴルフ、テニスやフィギュアスケートの選手たちは世界でもトップレベルに達しています。どうしてサーフィンでは無理なのでしょうか。「サーフィンは日本国内だけで和気あいあいとやっていればいい」という理由がわかりません。

 

おっしゃるとおりサーフィンは特殊だからです。他のスポーツとは決定的な違いがあります。いろんな意味での違いがありますが、まずは選手を育成する理論とシステムが確立されていない点です。他のスポーツはそれがしっかりしているので才能のある選手に一定の投資をすればそれなりの結果が見込めます。だからスポンサーも乗りやすのです。サーフィンはと言うと、何をどうしたら世界レベルになるのかが全くわかっていないので「とにかく、とことんやってみる」みたいなことになります。それだとやっぱり世界の舞台は日本人には不利です。もし仮にプロ選手全員が海外を転戦したとしても、数の上で外国人には及びません。やってみないとわからないというのは確立の問題ですから、数が多い方が当たりくじを引くでしょう。

 

フィギュアスケートなんかは少ない競技人口でよくあれだけ世界の舞台で活躍できるもんだと感心しますが、あれはサーフィンとは対極の構図ですよね。鉄壁の理論、そして充実した教育システム。それと競技する場所が先進各国の首都近辺、しかも屋内というのが大きいかな。フィギュアスケートの選手はみんな資産家のご子息だから世界を転戦する費用(年間にして1億円とか)もスポンサーなしで捻出できるのですが、もしサーフィンみたいに治安や交通の便が最悪の場所で試合が開催されるとしたら両親は絶対に支援しないはずです。

 

 

 

Q.JPSAで年間チャンピオンを取ると翌年からは世界に出ていったりプロ活動を休止するのが慣例ですが、それについてはどうですか。日本一の選手がいない状況でチャンピオンを決めても意味がないし、一般サーファーは白けていると思います。

 

それについては私にいい考えがあります。JPSAでチャンピオンになった選手は翌年からは最終戦だけの出場にしてはどうでしょう。ただし、これは義務化です。世界を回ったり国内活動を休止するにしても、最終戦にだけは出なければならないのです。そしてその最終戦でランキングトップの選手に勝ったら、たったその1回の出場だけでチャンピオンを持続できるのです。もし最終戦に出なかった場合には、JPSAチャンピオンの履歴を抹消するとかのペナルティを与えます。

 

あと、JPSAの試合を海外で開催するのは止めた方がいいですね。日本のプロは日本の波だから上手く乗れるのだと思いますし、国内なら海外選手ともそこそこ互角に勝負できます。無理して海外の舞台を借りて、海外のサーファーとのレベルの差をわざわざさらけ出すことはありません。



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