JPSA(日本プロサーフィン)

テイクオフ成功の法則



前田マヒナ、JPSA参戦の理由


昨年、ハワイのサンセットビーチだそうです。彼女の名は前田マヒナ(14歳)。ハワイの日系2世でして、両親はサーフィンのためにハワイ(ノースショア)に移住しました。日本人もハワイで生まれ育てば世界に通用するサーファーになれることを証明してくれそうな逸材です。

 

 

その彼女が今、JPSAの第1戦(バリ島・クラマス)に参戦しているのですが、その理由がなんとこれから先、サーフィンを続けていくにはスポンサーが必要だからと聞きました。日本はまだまだ不況の真っただ中ですが、それでもプロサーファーだけでなくアマチュアにでさえスポンサーが付くという恵まれた環境にあります。

 

 

マヒナちゃんはこれだけサーフィンが上手いのに、ハワイでスポンサーが付かないのでしょうか。そうなんです。ハワイというか、アメリカでもオーストラリアでもブラジルでも、1人のサーファーにスポンサーが付くというのは大変なことなのです。あのWT第2戦で優勝したエイドリアーノ・デ・スーザにですらスポンサーが付いていなかったという事実に私は驚きました。

 

 

 

本日、JPSAクラマス大会の女子ラウンド1が開催され、マヒナちゃんは他の選手を全く寄せ付けない強さを披露しました。これぞ世界に通用するサーフィンだ!と言わんばかり。まだ14歳なんですけどね。

 

 

対戦した3人の内2選手はJPSAのプロでして、名前の横にはガッツリとスポンサー名とロゴマークが付いています。一方でマヒナちゃんにはスポンサーがありません。これだけの実力差があるというのに。日本人プロは本当に恵まれています。

 

 

ただ、懸念されるのは日本人のサーフィンに染まってしまうことです。朱に交われば赤くなるというように、せっかくの世界標準のサーフィンが日本人プロ同様に小じんまりしてしまってはいけません。あくまでもWT(世界の表舞台)が目標なのであれば、常に世界で戦っている必要があるのです。

世界との差を実感する

JPSA開幕戦のバリ島クラマス大会は本日、男女ともセミファイナルまでが行われ、それぞれベスト4が決定しました。今回の大会には男女ともにJPSAを離れて世界を転戦している選手もエントリーしていますので、真のの日本一を決める戦いとなっています。そして私が予想したとおり...

 








これはセミファイナルで橋本小百合(23歳)が5.90を出した演技。彼女はJPSAを離れて世界(WQS)を戦っています。

 

 








そして同じく、ハワイから参戦の前田マヒナ(14歳)が5.65を出した演技。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリ島のクラマスは波質、波数ともに安定していて、その点では世界でも稀に見るサーフポイントです。ですので、サーフィン特有の波乱が起こりにくい。つまり、サーファーの実力差が如実に表れるということです。

 

 

4位の庵原さんはフルタイムで看護師という過酷な仕事をしながらのJPSA参戦で、昨年はみごとグランドチャンピオンになりました。しかし、これが現実です。これが世界標準のサーフィンとの差なのです。

 

 

別のヒートでファイナルまで勝ち上がったのは、野呂玲花(18歳)と大村奈央(20歳)。ここまで見たかんじ、JPSAの現役選手で世界に通用しそうなのは野呂選手だけです。他の日本人選手とは明らかに次元の違うサーフィンをしていますので、これから先が楽しみです。

 

 

誤解のないようにお願いしたいのは、けっして日本人プロ選手のサーフィンが下手と言っているのではありません。この記事はあくまでも世界レベルの話、そしてプロスポーツとして観賞に耐えうるかどうかの話です。全く無名であっても女子のプロ選手が自分の近くでサーフィンしていたら、「さすがにプロは上手いな〜」と思ってしまいます。それは自分目線での評価であって、紛れもない本音です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男子は大野マーが圧倒的な強さを見せています。辻裕次郎もエアリアルを封印してベーシックな技をしっかりきめていました。この男子の結果もまた貴重な資料です。もしこの試合が同ポイントで6月に行わる予定のWTだったらどうか。私の独断ですが、おそらく大野マー選手の点数はトータルで10点前後だと思います。ということは、WT(世界最高峰)とJPSAとの差は2倍近くあるのです。それが現実で、世界はそれほど遠い。



コンテンツ
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