JPSA(日本プロサーフィン)

テイクオフ成功の法則



形骸化する日本プロサーフィン(JPSA)

 

2014年JPSA女子ショートボード第1戦、クラマス大会で優勝したのはハワイ生まれハワイ育ち、アメリカ国籍の前田マヒナ(16歳)でした。基本的にJPSA(日本プロサーフィン連盟)には日本国籍を持つ者でないとプロ登録できないのですが、両親が日本人ということ、そして世界アマチュア大会で目立った活躍をしているこということで特別扱いなのだと思います。なお、男子ではダレン・ターナーとかユージン・ティールとか完全に外国人なのにどうして?という選手がいて、彼らが日本人に帰化しているのかどうかは知りません。

 

 

表彰台に上がったマヒナはMCから「今年は全戦出場しますか?」と問われると、「伊良湖の大会には出たいけど、ちょっと無理っぽいです」と答えていました。ちなみにこのインタビューは、質問は日本語なのに返事は英語という妙なもの。彼女は日本語は理解できるけど話せないのです。

 

 

 

 

 

 

 

で、こちらは男子ショートボード実質的優勝者の喜納海人(19歳)。決勝ヒートで辻裕次郎にインターフェア(前乗り)を犯して痛恨の減点ペナルティをくらったのですが、それがなかったら優勝していました。それでも今大会最高ポイント(10点満点)を出したのでベストパフォーマンス賞を獲得しました。

 

 

彼もまたハワイ生まれのハワイ育ち。前田マヒナと同じでして、つまり、男子も女子も日本人選手はハワイアンに負けたのです。ま、大会を面白くするために外人枠というのはあっていいのですが、問題なのは彼らが全戦出場しないことによるJPSAシリーズの形骸化です。

 

 

特に女子はひどい。庵原美穂が3年連続シリーズチャンピオンだということを知らない、それどころかそんな選手がいることすら知られていないのはそうした背景が間違いなくあります。要するに「チャンピオンというのは名ばかり」と誰しも思っているのです。

 

 

 

 

 

 

私はJPSAも含めてプロサーフィン観戦が大好きです。だからこそ、シリーズの形骸化はなんとしても防いてほしいものです。外国人がJPSAに参戦するのは大いに歓迎ですが、参戦するからには全大会出場しないといけません。でないと、チャンピオン争いの意味がなくなってしまいます。

 

 

2013年は大野マーが全大会に出て、大いにJPSAは盛り上がりました。JPSAを卒業して実質的には外国人になっていたマーですが、昨年のJPSA復帰はポイント参戦でなかったからこそ意味があったのです。

岐路に立つ日本プロサーフィン(JPSA)

 

JPSAショートボード第4戦、新島大会が始まりました。ごらんのとおりの小波。わざわざ新島まで行くからには、ウェイティング期間を設けて波のサイズが上がるのを待ってほしいものですが...

 

 

 

 

 

 

そのことよりも今大会の問題は、男女ともにチャンピオン争いにからんでいる選手の多くが海外の大会に出かけていて不在なことです。男子は仲村拓久未と喜納海人、女子にいたっては野呂玲花や大村奈央などなど。

 

こうなってしまうと、もはやJPSAのシリーズチャンピオン争いに誰も興味をもてなくなってしまいます。プロ野球の世界では有力選手がメジャーリーグに行ってしまって空洞化が起きると懸念されていますが、選手全体の母数からみればほんの少しだけです。しかしJPSAはそもそも母数が少ないので、トップ選手の数人が抜けてしまうとモロに影響が出てしまいます。

 

これまでは世界を周る日本選手といえば、JPSAでチャンピオンになり、もう日本国内には向かうところ敵なしとなった選手でした。大野マーがその代表のような人ですが、それが今では日本チャンピオンの座もままならない選手たちが国内大会に出場する感覚で世界大会に出かけていきます。

 

たしかに、それじたいは喜ばしいことです。しかし、JPSAをナイガシロにしてはいけないと思います。行くなら、JPSAとかぶらない試合だけをチョイスしてほしいものです。もしくは、世界大会を優先するのであればJPSAには出ないでほしい。そうでないとJPSAの積算ポイントが虫喰いだらけになってしまって、ランキングがほとんど意味のないものになってしまいます。

 

この事態を当のJPSAはどう考えているのでしょう。その昔、日本国内には複数のプロサーフィン団体があって、壮絶な権力争いをしていました。それらが淘汰され、そして和解し、生まれたのが今のJPSAです。昔であれば、当然のようになんらかの規制がかけられたはずです(昔は他の団体の試合には出場できなかった)。しかし今の理事長はそんな時代のことは知らないだろうし、空洞化の問題にすら気づいていないのかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

JPSA新島大会を欠席して女子のトップ選手の多くが出かけていったASPのフランス大会。日本人は序盤で総崩れ。そんな中、目立っているのがハワイの前田マヒナです。彼女は純血の日本人でありながら国籍はアメリカ。日本人でWCTのことを本気で口にできる選手は誰一人いないわけですが、もし彼女が日本に帰化すれば、日本人初、男女を通して初のWCT選手になるかもしれません。

 

 


JPSA第1戦のクラマス大会で優勝したマヒナ。あのときはインタビューでほとんど話をしませんでしたが(日本語が話せない)、このフランス大会は英語OKなのでペラペラしゃべっていました。無口なのかと思ったらぜんぜん違ってましたね。



コンテンツ
JPSAに復帰した 大野修聖
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