女子ロングボード

テイクオフ成功の法則



JPSA女子ロングボードを分析する








これは2013年のJPSAロングボード開幕戦(クラマス大会)。女子の優勝は昨年度ランキング3位の田岡なつみ選手(18歳)です。上のキャプチャーは準決勝での彼女のライディングなのですが...

 

 

 

 

 

 

 

 








比較のため、昨年ランキング8位だった林未来選手(30歳)のライディングがこれです。この演技にジャッジは4.00ポイントを付けました。そこで問題です。冒頭の田岡なつみ選手の演技は何ポイント付いたと思いますか。答えをすぐに見ないで、じっくり見比べてみましょう。ジャッジングの練習です。

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、答えは3.35ポイントです。どうですか、みなさん。大ハズレしたのではないでしょうか。少なくとも5.00ポイント以上が付いたと思った人がほとんどだと思います。どう見ても田岡選手の方が上手く乗っていますよね。でも、ジャッジ(審査員)の見る目は一般人とは違うのです。何がどう違うのか。

女子は演技全体がかなりオーソドックス








JPSA女子ロングボード開幕戦、決勝で田岡なつみ選手が6.25ポイントを出した演技です。女子の全ヒートにおいて5点以上を出してくる選手は、前年度ランキングで上位の数名だけでした。では、答え合わせといきましょう。どうして田岡選手の演技は林選手の演技より低い評価だったのか...

 

 

 

 

 

 

 

これはあくまでも私の考えであって、正解というものではありません。と前置きした上で、ジャッジは規定の演技だけに着目しているのです。「ロングボードのサーフィンは優雅でスタイリッシュでなくてはならない」なんて評価基準など鼻からありません。要するに、点数が付くと決められた演技を各選手がどれだけ正確にやっているかだけを見ています。

 

 

今のJPSAロングボードの場合には、リップにボードを当て込む演技に高い点数が付きますが、女子の場合はさすがにそれができる人はいません。なので、女子の場合には演技全体がかなりオーソドックスです。つまり、本来ロングボードはこうあるべきといった乗り方をみんなしています。私はそれはとても良いことだと思います。しかし残念なのは、いかに優雅でスタイリッシュかが評価の対象外になっていることです。

 

 

さて、女子の大会において最も高い点数が付くのはどういう演技でしょう。それは(おそらく)ノーズライディングとターンのコンビネーションです。ノーズライディングはロングの代名詞ですので高い点数が付くのは当然なのですが、そのあとにターンが入ってくるとダブルポイントみたいな評価がされます。

 

 

そういう目で、前回の記事にあった両者の演技を見比べてみてください。田岡選手は滑らかな足取りでノーズに歩いているものの、ハングファイブはほんの一瞬だけ。それに対して林選手のそれは、明らかに長いのです。つまり、「ハングファイブをきめた」と言えます。正確に時間を計ってみると1秒以下(0.5秒ほど)ですので、ほんとにわずかな差しかないのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで冒頭の田岡選手の演技を見てみましょう。ハングファイブとターンのコンビネーションを2回もきめています。だから他の選手が出せない高得点が付いたのです。これができる女子ロングボーダーは、今のところJPSAに3人くらいしかいません。



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