サーフィン都市伝説を考察する
小川直久プロのサーフィンDVDの広告にも紹介されているパドリング時の両足の置き方なのですが、ここでの「良い例」とはドジ井坂先生が指摘する「サーフィン都市伝説」です。サーフィン都市伝説とは、つまり「世間ではそれが常識とされていることでも、実は間違っていること」です。
日本で初めてサーフィン教本を書いて出版したのはドジ井坂先生です。それは1978年のこと。まさに日本がサーフィンブームに突入しようかというときであり、しかしサーフィンのノウハウを書いた書物など全くなかった時代です。
Try it surfin というタイトルのそのサーフィン解説本を今読んでみると、その高レベルの内容に驚愕してしまいます。今ですらこんな高いレベルのサーフィン理論を書いた本はないはずです。それは本当の意味でのサーフィン理論。いえ、サーフィンの物理学と呼ぶのが妥当かもしれません。それゆえ、その内容を理解できた人がどれだけいたかは想像に難しくありません。サーフィン理論を追求しているこの私が、今やっと理解できるほどなのですから。
どうしてその本の話をしたのか。その本(Try it surfin)の中に、ドジ先生がここ数年「サーフィン都市伝説」と呼んでいることがちゃんと書いてあったのです。それを見つけたとき、私はほんとに驚きました。ドジ先生は狂ってしまったのではなかったのです。それどころか、ドジ先生のサーフィン理論はこの30年もの間まったくブレていなかったのです。とはいえ、そのサーフィン理論が正しいかどうかは別問題です。では、そのへんを考察していきましょう。
ドジ井坂サーフィン理論の真相
これはミック・ファニングがパドリングしているところ。ミックのパドリング姿勢は他の選手と比べると背中があまり反っていません。「パドリングでは背中を反らせというのはサーフィン都市伝説です」と語気を強めるのは、ご存じドジ井坂先生なのですが...
ドジ先生が指導するパドリングの要点は以下の4点です。
● 胸はボードにつけておく
● 両足はできるだけ開く
● 顔の近くで手を入水させる
● しっかり最後まで掻ききる
この中で全く異論がないのは「しっかり最後まで掻ききる」だけでしょう。あとは一般的には「やってはいけないこと」として知られています。だからドジ先生は「サーフィン都市伝説」だとおっしゃるわけです。では、一つずつ検証してみましょう。まずは「胸はボードにつけておく」からです。冒頭画像のように、世の中には背中をあまり反らさないトップサーファーもいます。しかし彼らは稀な存在であって、圧倒的多数でパドリングのときは背中を大きく反らしています。
どうして背中を反らした方がいいのかについてはサーフィンEブックに詳しく書いていますので、逆に「背中を反らさない利点」について考えてみましょう。世の中のほとんどのトップサーファーの背中が大きく反っているのは、それが最も心地良い姿勢だからです。つまり、背中を反らすことができない人が無理に反らすのはよくないのです。体全体が硬直してしまってボードのバランスをとれなくなるばかりか腕もスムーズに回らなくなってしまいます。
であれば、背中を反らすのがキツイ人はいっそのこと胸をボードにつけちゃいなさい。これがドジ先生のお考えだと推測します。要するに、ドジ井坂理論は「教える相手はまったくのサーフィン初心者」というのが前提としてあるわけです。両足の話にしてもそうです。まったくの初心者さんが無理に両足を閉じてパドリングするとバランスをとることができません。であれば開いちゃいなさい。そうすればバランスがとりやすいですよ。と、こういう具合です。
- パドリングの基本姿勢
- サーフィンにおいてパドリングとは野球やサッカーで歩いたり走ったりするのと同じなのです。要するにパドリングできなければサーフィンはできないわけです。
- 水泳でパドリング強化
- パドリング強化のため、プールで50メートルのインターバルを毎日20本。実際にこれを継続してできるのであればかなりの効果はでるでしょう。
- チューブ引きの落とし穴
- 腕の筋肉を鍛えるのは有効です。パドリングとは腕で水を掻くことですから当然です。しかし、チューブ引きをしたところで目に見える効果は得られません。
- パドリングで意思表示
- パドリングを誰よりも先に開始することで、「この波には自分が乗ります」ということを周りにアピールできるのです。
- パドリングが楽になる
- 個人差がありますが、大人になってからの改善は困難です。大事なことは、大きく体を反らす努力ではなく、超時間キープできるようになることです。
- クイックな方向転換
- パドリングにおける方向転換もその原理はボトムターンと同じ。テール加重にしてボードを傾けます。このとき大事なのは推進力。
- パドリングを進化させる
- 鬼パドルのときは反射的にストレートプルになってしまいますが、これが通常のパドリングでも有効でしょうか。
- ニーパドルの仕方
- コツは完全に正座してしまわないこと。つまり、モモとお尻はくっつけないのです。握りこぶし一つ分離しておいて、その部分でボードの揺れを吸収します。
- 右旋回と左旋回
- 波のピークが向かって左からやってくるとき、ノーズを左に向けていればそのまま発進すればいい。そして左旋回して波をキャッチします。
- パドリングの筋トレを楽しく
- 私は毎日サーフィンができますが、それでもミスターテイクオフのトレーニングをさぼるときまってサーフィンの調子が悪くなってしまいます。
- パドリングで波のピークを捕まえる
- 積極的に波を追いかけ、バックサイドにテイクオフしていくアプローチを試していくことがマンネリサーフィン打開のために必要です。